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自作小説倶楽部 第1冊/2010年下半期(第1-6集)  作者: 自作小説倶楽部
第2集(2010年8月)/テーマ 「ひまわり」&「星」
14/67

No.1 真亜弥 「星 『流れる夜空に』」


 「おい、まだいるつもりなのか?」

「もちろんよ。あともうちょっとで終わりなんだから」

「ペルセウス流星群ってそんなにないだろ。あったとしても、もうこんな夜遅くだし…」


 時刻はもう2時50分をまわっていた。けど私は、そんなことなんかどうでもよかった。流星群より孝史を見ていたかったから。


「……仕方ねぇな。最後まで一緒にいてやる」

「ホント?」

「女ひとり置いて帰れるかよ。誘拐とかされたらどうすんだ」

「…ありがと」


 ペルセウス流星群。1月の「しぶんぎ座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並ぶ三大流星群のひとつで、2010年8月12日午後10時から、13日午前3時にかけて流れてくる流星群。私はそれを、天文部の仲間と見ていたけど、最後まで残っていたのは私と孝史だけだった。


「しかし…みんな、なんであんな早く帰ったんだ?」

「成績優秀ないい子は早く寝るんじゃないかしら」

「は? あいつらただの天文馬鹿だぞ?」

「知ってるわよ」


 知ってるなら言うなよ、孝史が喋っているうちにも流星群は空を駆ける。


「綺麗ね…」

「けどでっかい隕石みたいなもんだぞ」

「このロマンチックな雰囲気壊さないでくれる?」


 孝史は昔、高校に転入してきた私に声を掛けてくれた。どうやら私は、同性から『近寄りにくい』と思われていたらしい。まわりに壁を作った覚えはないんだけど。


「あ、また流れてきた」


 これが今日の最後かもね、と笑う。横顔が、すごく眩しい。


「……何を願うの?」

「またそんなこと言ってる。お子様かよ」

「いいじゃない。願いが叶うかもしれないんだし」

「ま、言わねぇよ」

「じゃあ私も言わない」

「ずるいぞそれ!」

「アンタだってそうじゃない」


 ぶつぶつ文句を言う孝史から視線を外した。


 流れ星が、空を切っていく。

―――ねぇ、どうか。この願いが叶うなら。

(私に、想いを告げる勇気をください)



「ねぇ、」

「何だ?」



「アンタのこと、好きなの」



      END


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