第4話:夜の書庫での甘い囁き
舞踏会の夜、宮殿の灯りが徐々に落ち、広間の喧騒も静かになった頃、ルシア・ヴァレンティナは書庫へと足を運んだ。栗色の髪が肩にかかり、淡いピンクのドレスが月光に照らされてほんのり輝く。
「アレン様……もう誰もいませんね」
小悪魔っぽく微笑むルシアに、アレン様は穏やかに微笑み返す。金髪が月明かりに光り、青い瞳が優しく彼女を映していた。
「ルシア、君が来てくれて嬉しいよ」
「ふふ、アレン様、こんな夜に呼び出すなんて……少し意地悪ですね?」
ルシアは挑発的に言いながらも、心の奥ではアレン様の温もりを求めている。
アレン様はそっと手を差し出し、ルシアの手を優しく握った。
「君が傍にいてくれるだけで、僕は幸せだ」
その言葉に、ルシアは頬を赤く染める。小悪魔的な挑発も、彼の前では素直に甘くなる。
「アレン様……私、ずっとこうしていたいです」
「もちろんだよ、ルシア」
肩を寄せ合い、指を絡め合い、唇が触れそうな距離で見つめ合う二人。書庫に漂う古い紙の香りと、互いの吐息だけが静かに響く。
ルシアは少し意地悪そうに耳元で囁く。
「アレン様、今日は私の方が優位に立っても、許してくれますか?」
「ふふ、君がどんなに翻弄しても、僕は君から離れられないよ」
アレン様の手がルシアの頬を優しく撫で、額に軽く口づけする。その温もりに、ルシアの胸は甘く高鳴る。
「……アレン様……私、もっと近くに……」
「いいよ、ルシア」
二人は書庫の静けさの中で、指先を絡め、肩を寄せ合い、互いの温もりを感じながら夜を過ごす。
外の月明かりが書庫の窓から差し込み、二人を柔らかく包み込む。悪戯っぽく振る舞うルシアも、アレン様の前では素直で甘く、甘美な時間は永遠に続くかのようだった。




