第3話:舞踏会での夜の輝き
宮殿の大広間は夜の灯に照らされ、豪華なシャンデリアが光を反射して煌めいていた。音楽が流れ、王族や貴族たちが優雅に舞踏を楽しむ中、ルシア・ヴァレンティナは淡いピンクのドレスに身を包み、長い栗色の髪を揺らしながら大人びた笑みを浮かべる。
「アレン様、今夜は私と踊ってくださいますか?」
ルシアは少し挑発的な目で王子を見上げる。悪役令嬢らしい余裕と、誰もが振り返る美しさ。アレン様は軽く笑い、手を差し伸べた。
「もちろんだよ、ルシア」
手を取られ、ルシアは少し意地悪そうに微笑む。軽く指先を絡め、肩を寄せ合う距離で踊り始める。
音楽が流れるたび、ルシアのドレスが揺れ、栗色の髪が金髪のアレン様の腕に触れる。
「アレン様……近すぎます……」
「ふふ、でも君の温もりが心地いいんだ」
耳元で囁かれる甘い声に、ルシアは思わず頬を赤く染める。小悪魔的な挑発をしながらも、彼の手の温もりを求めている自分に気づき、心が甘く震える。
「ルシア、君の笑顔は夜の光よりも輝いているよ」
「……アレン様……そんなことを言われると、舞踏会どころではありません……」
ルシアは恥ずかしさで視線を伏せるが、指先は自然とアレン様の手と絡む。肩が触れ合い、唇が触れそうな距離で踊る二人。周囲の喧騒は遠くに消え、広間は二人だけの世界になる。
踊りが終わる頃、アレン様はルシアの手を取り、そっと頬に唇を寄せる。
「今日も君と過ごせて幸せだよ、ルシア」
「アレン様……私もです……」
誰も知らない二人だけの秘密の時間。ルシアの小悪魔的な挑発も、アレン様の優しい包容も、すべてが混ざり合った甘い夜の舞踏会だった。




