第2話:庭園での甘い冒険
午後の宮殿庭園は、柔らかな日差しに包まれ、花々が色とりどりに咲き誇っていた。ルシア・ヴァレンティナは淡いピンクのドレスを揺らしながら、少し得意げに笑う。栗色の長い髪が風に揺れ、悪役令嬢らしい挑発的な視線をアレン様に向ける。
「アレン様、今日こそ私に勝てますか?」
「ふふ、負ける気はしないよ、ルシア」
手を差し出すアレン様に、ルシアは少し意地悪そうに指先で触れ、軽く押し返す。小悪魔の微笑みが、彼の胸をくすぐる。
二人きりの庭園の奥にある小径。花壇の間の小道は、誰も通らず二人だけの秘密の場所だ。アレン様はルシアの肩に手を回し、耳元で低く囁く。
「こうして二人きりだと、時間がゆっくり流れるね」
ルシアは少し意地悪く笑い、挑発的に目を細める。
「アレン様、そんなに見つめられると、照れちゃいます……」
「ふふ、でも君の困った顔が見たいんだ」
肩を寄せ合い、指を絡め合う二人。ルシアの心臓は甘く高鳴る。小悪魔的な言葉の裏で、彼女の心は素直にアレン様の温もりを求めていた。
「アレン様……もっと近くに……」
「もちろんだよ、ルシア」
アレン様は優しく頬に手を添え、軽く唇を寄せる。頬が触れ合う距離で、二人の吐息が重なる。
小径を歩きながらも、二人はからかい合い、時折指を絡め、肩を触れ合わせる。アレン様が耳元で「君の笑顔、今日も最高だ」と囁くと、ルシアは思わず目を伏せて赤面する。
日差しが柔らかく傾く頃、二人はベンチに腰を下ろす。アレン様の腕にルシアが寄り添い、手を握り合ったまま静かに時間を過ごす。
「ルシア、君と過ごす時間は、どんな宝石よりも輝いているよ」
「……アレン様、私も同じ気持ちです」
小悪魔的に振る舞うルシアも、二人きりでは甘く素直になる。庭園に漂う花の香りと風、そして互いの吐息が混ざり合い、午後は特別な幸せに満たされていった。




