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1話 マイナスから始まる出会い

 鳥のさえずりに私は目を開く。

「……ん、ここは」

 辺りを見渡せばどうやら山の中らしく傾斜のついた地面からは沢山の見慣れない木々が生えていた。

「ああ、そういえば……」

 霞がかっていた頭が冴えてくると全てを思い出していく。

 私は、悪魔メフィストと契約して魔王を育てる代わりに新しい身体を貰ったのだ。

「……」

 私は自分の手に視線を落として握ったり開いたりしてみるが特に違和感はない。

 メフィストの話ではこの身体は土人形で、瞳はガラス玉とのことだったが動かした感じも見た感じも生前の身体と特に遜色はないように思う。

「確か、この道をまっすぐ行けばいいんだっけ」

 メフィストから教えられたことは決して多くはない。

 この世界が今まで私が生きてきた世界ではないこと。

 とどのつまりは異世界だということ。

 それを鑑みれば生えている草木も花も知らないものばかりなのも頷ける。

 魔法という概念があり、人間やそれ以外の多種族が暮らしていること、それから育てる子達は子供とはいえ悪魔であり癖が強いこと。

 後は家までの道筋。

 それだけだ。

「……あった、あの家かな」

 羊皮紙にサインすればメフィストはそれだけ説明して早々に私をこの世界へと飛ばしたからこちらからは何も聞けなかった。

 他にも色々と聞きたいこともあったのに最後まで腹の立つ悪魔だ。

 私は聞いていた通りの場所に建っている家を見つけて早々に扉に手をかけてノブを回しながら手前に引いた。

「来たか! 燃えろ!!」

 瞬間、怒鳴り声と共に目の前に迫る炎の玉に視界を塞がれる。

「おっと」

 私はそれを軽くかがんで避けるけど、避けた後に受け止めたほうが良かったことに気付いた。

 こんな山の中に火を放てば山火事になりかねない。

「うわ、人間なのに反射神経良いなぁ、羨ましい」

「危な……」

 だけどその次の瞬間には今度は無数のシャボン玉みたいな水球が迫ってきていて私はそれを避けながら家に上がり込む。

 ちらりと確認したけどその水でさっきの炎は消えたみたいだからとりあえずは一安心といったところだろうか。

「たかが人間に何避けられてるベルゼブル、レヴィアタン、奇襲はっ、こうやるんだ!」

 だが安心するにはまだ早かったようで、馬鹿にしたようなそんな声と共に今度は左側から目映い光を放つレーザーのようなものが飛び交う。

「……これは」

 おそらくこのまま避けたら家が壊れる。

 即座にそう判断した私は胸ポケットから取り出した手鏡で自身に向かってきていた光を反射して家の外、それも出来る限り空に向かうように調整する。

「えっ……」

「よし捕まえた」

 驚いて固まったのを良いことにその間に光線を放った少年の首根っこを掴んで持ち上げる。

「うわっ、くそ離せっ……!」

 ジタバタと暴れる力はさすが悪魔という力強さだけど流石にこれくらいで離してしまう程には私もやわくない。

「る、ルシファー……だから止めようってあれだけ……」

 持ち上げた少年のすぐ後ろに隠れるように立っていた気弱そうなもう一人の少年はそう言いながらじりじりと後ずさる。

「嘘吐くなよお前だって乗り気だっただろサっくん!」

 そんな少年にルシファーと呼ばれた少年は怒ったように怒鳴り返す。

「ねぇみんなうるさいよー、自分の寝るの邪魔しないで……」

 そんな喧騒から少し離れたところ、椅子に座り机に突っ伏している少女が眠たそうな声で文句をつけるも収まる気配は全くない。

「ベルフェゴール、今日はうるさくなるから部屋で寝なさいと言ったでしょう、騒がしくて申し訳ない人間の君、私はアスモデウスです」

 そんな中一人だけ落ち着いた様子のピンクの頭髪の少年が人懐っこそうな笑顔でペコリと頭を下げながら私に挨拶してくる。

「あー! アスモデウスズルいー! ウチが一番に挨拶したかった! ベルゼブルもズルい! ウチが一番に攻撃したかったのに!」

 それを見ていた白髪の少女は少女で何故か途端に癇癪を起こすし

「うるせぇぞマモン! オレ様は攻撃を避けられて腹が立ってんだ!」

 それを聞いていた最初に火球を飛ばしてきた赤髪の少年は少年でまた怒鳴り出す始末。

「……元気なのは良いことで、だけど」

「っ!! うわっ!」

 私は言うが早いか最初に取っ捕まえておいた金髪の少年を机の前まで連れてくると椅子を引いて無理やり着席させる。

「はじめましての挨拶は大事、みんなちゃんと座れる?」

 そしてそれから騒ぎ立てている残りの五人のほうを見て笑顔で促す。

 勿論、威圧を込めた笑顔だが。

「……」

 五人はそれぞれ顔を見合わせたりしながら無言でそれぞれ着席を始める。

 ちゃんと言うことを聞くときは聞く。

 そういうところは年相応という感じか。

 まぁ、元気なのも子供の特権みたいなものだけど。

「……自分は最初から座ってたしー」

 そんな子供達を見ながら最初から着席していた少女はうんざりした様子でそうぼやいた。

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