11話 気付いたら
「ねぇルー、もうレヴィも認めたみたいだよ?」
今日も団らんする六人から距離を取っているオレに付き合って一緒にいてくれるサッくんからそんな風に声をかけられた。
「それがなに?」
オレはわざと冷たく突き放すけど
「ボク達だけ意地張ってても仕方ないよ、もう良いんじゃないの?」
サッくんは折れることなくオレにそう問いかけてくる。
「そう思うならサッくんはそうしたらいい、オレは、人間には屈しない」
オレは崇高なる悪魔だ。
それも時期七大魔王であり傲慢を司る悪魔。
それが人間に屈するなどあってはならないこと。
「……屈するとか、きっとそういうことじゃないんじゃないかな」
「……」
サッくんの言葉の意味はオレも理解している。
すでにそういう次元の話ではないことも。
「……ボクは、最後まで付き合うよ」
オレが無視しても、サッくんはそう言ってオレを捨てることはしなかった。
「マー、食べ物で遊ばないの」
「えー、だって遊んでって見た目してるのにー」
「アスも食事中は本読まない」
「今とても良いところなんです……!」
「ベルー、食べながら寝ないー」
「眠っ……無理……」
「ゼブルは人のおかずとらない」
「まだまだ食えるぜオレ様は! たりねぇのがいけねぇ!」
「レヴィは魚に文句つけない」
「だって、こいつ焼かれたのにこんなきれいな色してて羨ましい、僕が焼かれたらきっと灰も残らないんだ……」
「……」
オレはいつもの食卓のやり取りを見て、黙って席を立つ。
「ルー、まだ食事の最中でしょ、席に戻って」
そうすればアサギは他のやつにもするようにそう言ってオレを止めようとする。
「サッくんもついていかない」
オレについてこようとしたサッくんにも勿論そう。
「…………はぁ」
そのやり取りを見て痛いほどに痛感したオレは早々に席に戻る。
「ルーが自分から席に戻った……」
ゼブルが驚くのも無理はないだろう。
オレが呼び止められて席に戻ったのはこれが初めてのことなのだから。
「認める、何事も諦めず、オレらのことも諦めなかった、こんな傲慢な人間は、お前が初めてだ」
誰だって物にも人にも順位をつける。
言うことを聞く子供のほうがかわいいからだ。
それなのにこの人間にはそれが一切ない。
ただ純粋に、全員に等しく同じだけの愛を注ぎ、等しく相手にもそれを求めている。
どれだけオレが拗ねてふてくされてもそれは変わらなかった。
ならもう、負けを認めざるを獲ない。
「それはよかった」
「……オレの期待を裏切るなよ」
オレはフォークを握りながらそう釘をさすけど
「子供にそんなこと言われても怖くないけどね」
アサギはそう言ってオレの頭を小突くだけだった。




