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一族皆殺しにされた没落領主、メッセージウィンドウの指導法で最強剣士に成り上がる  作者: 森田季節
剣豪領主

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エピローグ

 新太守エンゾ・サウザンリーフの居城はとりあえず、北がすぐに山に面したセブリー郡のターディー城にした。

 太守の城にしては小さいが、新太守をヴァーン州の領主たちが認めるか読み切れないためだ。


 北に山が面しているということは、そっちに延々山中を移動していけばサーファ村のほうまでたどりつけることを意味する。いざとなったら逃げてきてもらうというわけだ。



 そして、エンゾがターディー村で最初にやった仕事が、これだ。

「ガストス・ベルトランの処刑を行う」

 そう、エンゾが後ろ手に縄をされて地面に座らされたガストスに向けて言った。


 その周囲にはすでに服属を明言しているヴァーン州の領主と俺の側について戦ってくれた関係者が立っている。


「処刑だが、レオン・アルクリア、君がやらなくていいのか?」

 太守の立場になったので、エンゾには尊大な口調でしゃべるように言っている。だいぶ板についてきたとは思う。


「けっこうです。処刑人にやらせてください。これは私怨ではありません。太守を僭称していた一族が刑死するだけのことです。クルトゥワ伯爵家からも処刑を指示する書状をたまわっています」


 そもそも本当に腹が立っているなら今日まで生かさずにとっとと殺していた。

 それをしなかったのは今後のためにより正統性を確保した形で殺したほうがいいと思ったからだ。



 処刑人が巨大な斧を振り下ろした。

 俺の仇の首がいとも簡単に落ちた。



 俺は死んでいった一族の名前を可能な限り、頭に思い浮かべた。


 アルクリア竜騎士家の受難はあまりにも大きかったですが、俺が過去の家よりもはるかに発展させてみせます。


 それをもって、弔いとさせてください。





 それからの俺の話を簡単に話そう。

 新太守エンゾ・サウザンリーフは2年で俺に太守の地位を譲った。すべては予定通りのことだ。あまり長くやって暗殺されても困るとエンゾは言っていた。


 こっちとしては自分が25歳ぐらいになるまでは待ってもいいと思っていた。25歳なら若造扱いもされないだろうという判断だ。だが、ラコがもう大丈夫だと主張した。


 アルクリア家で初の太守が誕生したわけだ。


 太守になって最初の仕事がクルトゥワ伯爵家にひとまず従属の姿勢を示すことだったというのがなんとも締まらないが、自分が太守になった直後に敵を増やすのは得策ではない。しばらくは自分の治める州内の安定に取り組まないといけない。


 子供もあれから二人増えた。一人はナディアの子、もう一人はフィリの子だ。フィリの子は女児だったので、現時点では後継者争いのようなことは(おそらく)起きないだろうが、この手の後継者争いというのはほぼすべての領主が経験しているから、できる限りその可能性がないように注意をしたいと思う。


 まだまだヴァーン州は周辺の州と比べて強勢というわけではないし、これから先過酷な戦いがあるかもしれない。それでも、アルクリア竜騎士家の名前に泥を塗らないように、なんとかやっていきたいと思う。



 ――と、俺の執務室にラコがつかつかと入ってきた。


「向こう5年間の計画ができました。すべて上手く運べば5州の太守にまでなれます。少しリスクはありますが」

 楽しそうにラコは言う。


「お前、リスクがあること自体を楽しんでるだろ」

「不確実性があったほうが面白いですからね」


「この規模での不確実性は困る。より安全な計画も考えとけ」

「そうですね。太守のお望みとあらば」


 こんなに敬意のこもってない太守という言葉も珍しいな。


 俺は苦笑する。

 でも、悪い気分じゃなかった。


「時間はかかってもいいから、国を統一できるぐらいの英雄になれる計画も考えといてくれ。まだまだ働ける」

「ええ、まだまだ働かせますよ」


これにて、本作は完結といたします。長い間のご愛読本当にありがとうございました!

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