9/39
第九話 地震が来るなあ
ある夜、寝入り端の私の脳内に“声”が響いた。
“あー、地震が来るなあ”
年配の男性と思しいが、聞き覚えのない声だ。
え、そうなんですか?
頭の中で返事をすると、男性は続ける。
“今度は、北海道だなあ”
そうなのか……と思った直後、私は寝落ちした。
翌朝、母にその話をすると、「あんたは勘が鋭いから、本当に起きるかも知れないね」と神妙な面持ちで言われた。
しばらく経ち、そんな夢を見たことも忘れかけていた時、北海道胆振東部地震が発生した。
ニュースを見た母から「あんたが夢の中で聞いた地震の話って、これだったんじゃないの?」と言われ、肝が冷えたのを覚えている。
以前、父の友人・M氏の夢に現れ、不吉な予言をする人物のエピソードを紹介したが、似た存在と邂逅したように思えてならない。