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第四話 ぐるぐる

 父の友人・K氏は小学生時代、恐ろしいものを見たそうだ。


 ある日の放課後、K氏は友人らと教室で話し込んでおり、下校時刻が大幅に遅れた。

 昇降口まで来た時、友人の一人が忘れ物に気付いて取りに戻ったため、K氏は他の仲間と一緒に待っていた。


 ややあって、(くだん)の友人が叫び声を上げながら駆け戻って来た。何があったと問えば、ガタガタ震えながら「出た」と言う。


 昇降口から教室に行くには、講堂(体育館)の中を突っ切らねばならない。友人もそのルートを通ったのだが、そこで何かを見たようだ。


 K氏はやんちゃな性格だった上、小学校高学年で身体も大きくなってきていた。おまけに、ここには気合の入った仲間が5人もいる。

 当然の如く、確かめに行こうということになった。



 少年達は意気揚々と講堂へ向かった。黄昏時で、建物の中は薄暗い。


「で、どこで見たんだ?」


「あれ……あそこ……!」


 友人は怯えながら、20メートルほど先にある演台を指す。

 見れば、ちらちらと“何か”が動いている。


「何だ……?」


 K氏らが目を凝らしながら近付くと、演台の端から“それ”が出てきた。


 最初は何かわからなかったが、しばらく見つめるうちにはっきりした。


 男の顔だった。生首だ。


 宙に浮かぶ首が、音もなく演台の前を通り過ぎ、裏側に回る。

 少しすると、反対側の端からすーっと現れ、また演台の前を通って裏に回る。


 首は、演台の周りをぐるぐるぐるぐる回っているのだった。


 K氏と友人達は絶叫し、その場から逃げ去った。



 首の正体はわからずじまいだそうだが、 K氏曰く、小学校のある土地は昔、刑場だったのではないかとのこと。

 しっくりくる説だ。



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