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第三十六話 視える人
父が若かりし頃、一時期一緒に働いていたVさんの話。
彼女はいわゆる“視える人”である。
積極的に語りはしないものの、心霊体験も多いようだった。
某日、父は職場の面々と“その手の話”をしていた。当時は心霊や超能力の特集が花盛りだったこともあり、場は大いに盛り上がった。
その際、Vさんが同席していたアルバイトの女性に、「〇〇さんて、視えるでしょ?」と話を振った。すると彼女はニヤリと笑み、「わかる?」と返す。Vさんもニヤリと笑って「わかるよ~」と返した。
「え、二人とも視える人なの?」
父が問うと彼女達はうなずき、互いに「ああ、この人、視えてるなって思ってた」と事も無げに語った。
父は「何なんだ、この人たちは……」と驚愕しつつも、視える人同士、わかるもんなんだなと感心したそうだ。




