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第二十六話 加護

 末弟は自他共に認める雨男だ。幼少期から運動会や遠足はもちろんのこと、久しぶりに遠方に住む友人と会うなどという特殊なイベントがある時──ただし彼が単独で動く場合に限る──は、必ずと言っていいほど雨に降られる。

 うちの家系は晴れ男・晴れ女が多く、家族単位で行動する場合はこの限りではないので、余計に彼の特異さが際立っているように思う。


 さらに、気象病(低気圧頭痛)持ちだ。末弟が不調を訴え始めたら、たとえ天気予報で晴れと出ていても悪天候に見舞われるので、「お! ××(末弟)が頭痛いって言ってるから、明日は雨だな!」などと、家族達からイジられる有様である。


 本人は「傘と頭痛薬が手放せない難儀な体質だ」と嘆いているが、不利益ばかりではない。

 というのも、末弟が体調不良で欠席したイベントでは、毎回何かしらのトラブルが起こっているのだという。

 わかりやすい例を挙げると、高校の友人達から遊びに誘われた時、何となく調子が悪かったため断ったら、彼らは酒を飲んでいたらしく、それが発覚して参加者全員停学処分になってしまった。末弟は真面目だが付き合いが良いので、「実は直前まで行こうか迷ってた。その場にいたら、自分も飲んでたかも知れん」と述懐する。


 他にも食中毒や、面倒くさい人間との遭遇を回避したりして、被害者達から「お前、あの時、いなくて良かったな」と言われることも多いそうだ。

 

 彼は“難儀な体質”と引き換えに、神明の加護を受けているのかも知れない。


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