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第十八話 オバケ鏡
祖父母の部屋にある大きな洋服箪笥に纏わる話。
この箪笥の表側には、縦長の姿見が付いている。純和風の“ミラー付きワードローブ”というヤツだ。
昔、何かのタイミングでそれを覗いた時、自分の顔がぐにゃりと歪んで映り、非常に気味の悪い思いをした。
古い箪笥なので、おそらく鏡も劣化していたのだろう。
幼かった私にそのような推測ができるはずもない。オバケ鏡だとビビり、それ以降、近寄らないようにしていた。
時は流れ、高校生くらいになった頃、たまたま姿見に目をやった私は違和感を覚えた。
歪みがない。
位置の問題かと思い、幼かった自分の背丈辺りまで腰を落としてみたが、ごく普通の鏡と同じ映り方をしている。
家族に話したところ、誰もが口を揃えて「あれは昔から普通の鏡だった」と言う。修理に出したこともないそうだ。
箪笥(姿見)は今も祖父母の部屋に鎮座しているが、あれから何度覗き込んでも歪んで映ることはない。




