前へ目次 次へ 17/43 第十七話 手 ① 母方の祖父の話である。 ある晩、祖父は自宅の便所で用を足していた。 便座に腰を下ろし、出すものを出してホッと一息ついた時のことだ。 膝の上に置いていた右手に、ひたと人(・)の(・)手(・)が触れる感覚があった。 ほのあたたかく、指や手の平だとはっきりわかる形をしたものが、確かに自分の手を触ったのだった。 ぎょっとして周囲を見回す。 しかし、当然ながら誰もいない。 虫などの可能性も考えたが、それらしいものは見つけられなかったそうだ。