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第十三話 なにやってんの?
学生時代の某日、勉強を終えて時計を見ると、深夜2時をまわっていた。
寝支度を終えて寝室へ向かおうとした時、
背後から「なにやってんの?」と母の声がした。
いつもと変わらない、気楽な声音だ。
だが母は何時間も前に就寝しており、現在起きているのは自分だけだった。
背後には、電気の消えた真っ暗な部屋と廊下がのびている。
私は振り返らず、足早に寝室へ向かって事なきを得た。
後に聞いた話によると、母はその時間帯にちょうど目を覚まし、
「あいつ、まだ起きてるのか……なにやってるんだろうな」と思っていたらしい。
母が発信した“想い”を受信したのではないかと言われ、何となく納得したのを覚えている。




