第十二話 ぽぉぉん
私も母の体験した“霊的なラップ音”と似た音を聞いたことがある。
詳しい時期は忘れたが、子供の頃、2階の寝室できょうだいとゴロゴロしながら会話していた時のことだったと思う。
ぴょん……
妙な音がした。アニメの中で何かが弾んだ時に流れるようなコミカルな音で、さほど怖さを感じなかった。
「なんだ、今の……」
「変な音したな」
不思議がりつつ耳を澄ましていると、
ぴょん……ぴょん……ぴょぉん……
音は南側の窓の方から等間隔で響き続け、徐々にこちらに近付いて来ているのがわかった。
「なんだなんだ……!?」
異様な事態に混乱する間もなく、音は私達の頭上を通り過ぎ、ぐっすり眠る末弟の頭の上あたりで、一際大きく、
ぽぉぉぉん!!!
と鳴り響いた。
これを聞いた途端、我々は何も知らずに眠りこける末弟を容赦なく見捨て、遁走した。
後日、一部始終を明かしたところ、末弟から「起こせや」と言われた。しかし正直な話、それどころではなかった。
この音の正体についてあれこれ考察を重ねた結果、“たまたま通りかかった浮遊霊の移動音”という解釈がきょうだいの総意となっている。




