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六.五話 『概要』

テセラ 「あー、疲れた」

床について、人心地つく

今日は色々あったな…

しかし、明日は休みだ

この疲れも一日中休めば無くなるだろう

俺は近くにあった本を引き寄せる

テセラ 「今日くらい、夜更ししても良いよな…」

この家の前の持ち主は、非常に興味深いものをここに残した

それは『奴ら』に対する研究レポートだ

多くの人間が未だに『奴ら』がどんな生物なのか知らない

だが、この本の著者はありとあらゆる可能性を検討して、一つの仮説を提唱した

それは、『奴ら』と人間は同祖を持っているということだ

…眉唾だ 

親戚ならばなぜ殺し合う必要がある?なぜ、俺達は虐げられる…!

…取り乱した

だが、読み物としては非常に面白いと言う他無い

たまにこうやって本を読む

そして、己を、『奴ら』を見つめ直す

そこには善も悪無い。理性に基づいた、徹底的な観察と客観主義が必要なのだ


………

……


研究レポート一部抜粋

1,概要

十数年前、『奴ら』が最初に発見されたのは南極である。第一発見者は、入植者として送り込まれたアメリカ合衆国の一般市民二人だと言われている。

どのような経緯があったかは今では検証が不可能になっているが、少なくとも彼らが『女王』を見つけたのだ。

女王が目覚めたことで、他の同族も一斉に覚醒を開始、これの影響で南極で大規模な地震が起きた。

地震(『奴ら』による襲撃という線もある)によって、入植者は行方不明者が多発し、施設は跡形も無く破壊された。これを以て、南極入植プロジェクトは失敗に終わった。

それだけならまだ良かったが、女王とその配下は北上を開始し、人類の生存圏に攻撃を開始した。

彼らの力は強大で、人類の都市は次々に陥落した。アメリカ合衆国はその強大な軍事力でそれなりに抵抗を示していたが、ある日を境に彼らとの戦闘を停止、挙句の果てに同じ人類を攻撃するようになった。

これは、『奴ら』とホワイトハウスの間で何らかの取引があったと言う他ない。アメリカ当局が否定しているため、検証のしようが無いが。

この戦争で全ての国が『奴ら』に降伏を余儀なくされた。奴らはそれを確認すると、都市を自分好みに再建し、支配者として振る舞うようになった。




2,特徴

彼らは多種多様な髪・目の色をしており、一目見て判断することは容易である。

そうでなくとも、背中に羽のようなものが伸びており、これでも判断が可能になっている。

そのため、彼らのことを私は『人類族』と対になる『天使族』と呼んでいる。天使族は、人類族には到底理解不可能な『超能力』を操る。その能力は多様で、純粋な能力では我々は劣っていると言う他ない。

ただし、彼らは科学に対する理解は浅慮で人類が発明した機械類を概ね理解出来なかったという。


3,文化

➀天使族の政体は人間族より3000年ほど遅れている。前述の通り彼らには女王がいるが、彼女が司祭を兼任し、政教一致体制を作り上げている。

それ以外の政治勢力は存在せず、議会はおろか、民主主義に理解を示すことは無かった。

だが、それ故に民族としての結束が非常に強固で『女王陛下のためならば』と、配下は命を軽々と投げ出す傾向にある。

この天使族はいくつかの部族に別れており、世界中の都市に拡散している。各々、農地や人間族を支配下に置き、毎年一回女王に生産物の献上を行っている。


②服装は古代ローマやオリエントで見られたような格好で、現代の我々から見ると非常に古めかしいと感じられる。

だが、彼らはこの服装を誇りに思っており、安易に侮辱すると殺害されるので注意が必要である。


➂天使族は俗に言うベジタリアンである。

肉…というより不要な殺生を行わない(人間はその限りではないが)。そのため、肉食文化を持つ人間を軽蔑しているようである。

天使族のエネルギー効率がいかほどかは分からないが、彼らが肉の生産を渋るために人間族の間では動物性タンパク質の不足が深刻化している。


………

……


テセラ 「…」

一通り読み終わる。このレポートを読むたびに、なんとも言えない感情に苛まれる

彼らは人間を無作為に、何の感情も無く殺す殺人マシーンではない

我々と同じように感情を持ち、文化を持ち、誇りを持っている

だから…なんとか対話も可能ではないか。と、甘えた考えが脳内に浮かんでは沈んでいく

あぁダメだ

…もう寝よう

こういう時にしか言えないのですが、少しでも気に入ってくれたならブクマやいいねをお願いします!

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