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六三話 『平和の為の戦い(3/3)』

テセラ 「あ、あぁ…」

バラバラに砕けた鉄片が、落下するのを眺めながら、言葉とも言えないうめき声を漏らす

地上ははるか3000m

ナナシが爆散したように、俺も地面に叩きつけられて、取るに足らない肉片と化してしまうのだろうか

後悔が、胸を掛けめぐる

誰か生かして貰っているのにも関わらず、何も報いることが出来ないという無力感

もう…俺なんて…

    「ちくしょう…」

    「チクショオォォォォッ!」


………

……


シィネ 「うぐっ…なんだ!?」

衝撃波が地上を襲う

アクロポリスを守る親衛隊長として、航空機を撃ち落とす

だが、その途端生ぬるい空気が辺りを包む

そして、この感覚は初めてではない

衛兵 「シィネルガシア隊長!撃ち落とした航空機から落ちた人間から…!」

   「人間から…!翼が…!」

シィネ 「何…?またか!」

空を見ると、キラキラと空を照らしながら何が落ちて行くのが見える

そして、その輪郭は羽を生やした我々にそっくりなことは言うまでもない

衛兵 「彼女は…我々の仲間でしょうか?」

そんな、ある種能天気なこと言う部下

しかし、それほどまでに同胞と見分けが付かないのだから仕方のないことだろう

だが…

シィネ 「違う…!彼女は敵だ!女王陛下に仇なす人間族だ!」

    「奴に向けて攻撃を始めろ!」

テペリア総督から貸与された人間族の武器、『高射砲』で奴に標準を合わせ、弾幕を張る

余裕のある者は限界まで近づき、魔法を直接ぶつける

衛兵 「…効果、確認出来ません!」

だが、その尽くは失敗に終わり、奴を貫くことは無かった

シィネ 「…テセラ、テセラ!何故私の邪魔をする!」

空に佇む、羽を生やした異形にそう叫ぶ

勿論、その言葉が聞き届けられることは無かったが、気分の問題だった

私とて、人間を殺すのは本意ではない

だが、これまで副総督として、隊長として、最低限の犠牲に済ますように知略を巡らしたつもりだった

だが、いつも惜しい所でゲリラ…特にテセラの邪魔が入る

前に会った時は、同じ志を持っていたのに…同志だと思ったのに…

だからこそ、憤りが隠せない

まさに、裏切られたような気分だった

   「…」

腰に提げている剣を抜く

衛兵 「隊長!?まさか…」

シィネ 「あぁぁぁぁぁぁぁッ!」

高速で飛び立ち、テセラに肉薄する

    「悪く思うなッ!」

渾身の斬撃

テセラの脳天を左右に割るように、剣を下ろす

    「ぐぁッ…!」

だが、謎の膜に阻まれ攻撃が入ることはない

そればかりか、反動で地面に叩きつけられてしまう

衛兵 「隊長…!隊長!」

   「まさか、隊長が一撃で…!」


………

……


衛兵 「隊長…隊長…!起きて下さい!隊長ッ!」

シィネ 「うぅ…」

全身が軋む

私は…どうなったのだ?

あぁ…そうか

テセラを阻もうとして…そして、負けたのか

思わず、ニヒルな笑いをしてしまう

    「…現状報告を、頼む」

衛兵 「それが、あの化物はそのまま北上を開始した模様です。恐らく…総督府に向かっているのかと」

シィネ 「総督府だと…?」

    「まさか、テペリア総督を殺すつもりなのか…?」

軋む体に鞭打ち、起き上がる

周囲の様子を見た途端、唖然とした

それは、まるでハリケーンの後のように、建物を破壊した跡が明瞭に残っている

そして、山のような瓦礫の上には、同胞が無数に転がっている

    「…犠牲のほどは?」

衛兵 「それが…本隊は壊滅状態、一般市民を巻き込んだ戦闘になす術物無く…」

シィネ 「何ということだ…」

テペリアが指揮する一個師団は、D地区の討伐に向かっていると聞く

つまり、近衛兵が壊滅状態の今、テセラを阻む者はもはや誰も居なかった

    「残存兵だけでも集め、テペリア総督の救援に向かう」

衛兵 「しかし、傷ついた同胞がここに無数に…っ!」

シィネ 「優先順位を考えろ!」

テペリア総督が死ねば、もはや人間支配という話ではない

それは、天使族の沽券に関わる重要な失陥であることは言うまでもない

そして、なにより総督を殺したという事実が、世界中に拡散すれば、再び人間が大規模な蜂起を起こるかもしれない

    「テセラ、お前は、この世界をどうするつもりなのだ…」

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