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六十話 『談合』

ナデシコ 「ねぇテセラちゃん」

テセラ 「…ん?」

ナデシコ 「最近、リーダーが部屋に篭って出てこないんだけど、何か知ってる?」

ルリ 「私も気になります」

D地区から帰ってきて2、3日が経った

ゲリラと言っても、毎日戦闘に明け暮れている訳ではない

だから、ほとんどの時間は訓練に使うか、余裕のある者は他の仕事と兼任している

そして、肝心のヤマトはと言うと、部屋から篭って出てこない

恐らく、D地区の蜂起について、話を詰めていると思うのだが…

それを安易に伝えて良いものか

テセラ 「…正直俺も分からん」

    「でも、ヤマトのことだ。仕事であることは間違い無いだろう」

ナデシコ 「そんなの知ってるよー」

ルリ 「ヤマトさんって、どうしてそこまで仕事熱心なんですかね?」

…確かに、そこまで突き詰めたことは聞いたことが無かった

勿論、『人類を救いたい』と言う御大層なお題目はあるはずだが、それにしては屈折している人間だと思うが…

テセラ 「うーん…」


………

……


B地区ゲリラ、執務室

電気も付けず、ヤマトが熱心にマイクに向かって話しかけている

ヤマト 「…こちらヤマト…こちらヤマト聞こえるか…?」

?? 「あぁ、聞こえている」

ヤマト 「それで、昨日の続きなんだが、細かい話は昨日言った通りだ」

    「後は、君が実行するだけで良い」

??  「そう簡単には言うが、頭領を説得するのに、かなりの時間を要したぞ。感謝して欲しいものだ」

    「…それと、条件は分かっているんだろうな?」

ヤマト 「あぁ、分かっている。ちゃんと確認しただろう?」

?? 「念の為だ。ゲリラは疑り深くないと生きてられないからな」

ヤマト 「そうか」

?? 「それにしても、お前がマサムネを見捨てるとは思わなかった」

   「これでも、10年来の仲なんだろう?」

ヤマト 「そのセリフは君にお返ししよう。単純な年数だけで言えば、貴方の方が長いだろうに」

?? 「私は…彼に対して個人的な情は一切無い」

   「ただ、強き者に連なった結果、彼の元に辿り着いただけだ」

   「そして、私の新しいパトロンを見つければ、当然用無しになる」

   「特にテセラ君。君が彼女を御してる間は裏切らないことを約束しよう」

その言葉回しだと、テセラを失えば容易に翻意するという意味に聞こえるが、それは言わなかった

ヤマト 「随分と情が無いんだな」

?? 「ふむ…では、君は違うと言うのか?」

ヤマト 「俺は、頭領に感謝しているよ」

    「この恩は一生経っても潰えることはないだろう」

    「しかし、それとこれは別問題だと思う」

    「彼がD地区と共に停滞と妥協を望む以上、俺は彼に従う道理は無い」

    「元々ゲリラは、人類を救済するためにあるのだから」

?? 「その信念は買うが、理解は出来ないな」

   「君の決断は、少数のために大多数を見捨てる結果となるだろう」

ヤマト 「お前は…ノアの方舟の話を知らないのか?」

    「ノアは神の信託を誰にも信じてもらえず、ただ一人で方舟を作り出した」

    「必ずしも、大多数が正義では無いんだよ」

?? 「…それでも理解は出来ないな」

ヤマト 「ふん…いいさ。君は自分の利益を追求し続ければいい。そのベクトルが、我々と同じ限りは仲良くしようじゃないか」


………

……


ルリはとうに寝てしまい

俺とナデシコも解散しようかと言う頃、突然、執務室のドアが開けられる

勿論、その主はヤマトであった

ナデシコ 「あ!リーダー!」

     「もう…心配してたんだよ?」

ヤマトの表情は硬い

髪の毛はボサボサで、目の下には大きな隈が出来ていた

まるで、何十時間も執務をしていたような顔だ

     「リーダー…?」

こちら二人を見つける

ヤマト 「D地区の協力を取り付けた」

    「アクロポリスを挟撃するぞ」

ヤマトはそう言い放った

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