五四話 再会』
テセラ 「今戻った」
ヤマトたちの居る地下拠点に舞い戻る
ヤマト 「テセラか…さっきは済まなかった。少し、取り乱したようだ」
入り口には、ヤマトが立っており、開口早々そう切り出した
テセラ 「構わん。そういう日があっても仕方ない」
ヤマト 「すまないな…」
「まあ、与太話はこれくらいにして、部屋を案内しよう。着いてこい」
テセラ 「…」
………
……
…
テセラ 「…しかし、なんというか、この構造物は広くて困るな」
ヤマトの後ろについて回り、十数回角を曲がったが、未だ目的地に着く気配はない
ヤマト 「そうだな…この地理を覚えるのに俺も苦労したものだ」
テセラ 「…?お前が作ったんじゃないのか?」
ヤマト 「まさか。そんな資金も労働力もあるわけない」
「これは、先の戦争で旧軍が残した遺産だ」
「我々はそれを乗っ取り、勝手に使わせて貰っているに過ぎない」
テセラ 「ふーん。俺の部屋みたいな経緯だな」
ヤマト 「そうかもな。しかし、軍の屋敷とだけあって設備は充実している」
「それなりに自給体制も構築している」
テセラ 「そうか」
ヤマト 「…っと、ここだ。君は今日からここに住みたまえ」
一つの部屋を案内される
中に、入ると簡素なベッドと机、そして申し訳程度の本棚があった
「空き部屋のほとんどが物置になっていてな。直近で、容易出来るところはここしか無かった」
テセラ 「他のゲリラはここに住んでいないのか?」
ヤマト 「あぁ。B地区にはここ以外にも隠れ家が無数にある」
「それに、頻繁にここに出入りしていたら当局も怪しむだろう?」
テセラ 「違いないな」
ヤマト 「あと、テセラ。君に来客だ」
テセラ 「来客…?」
俺に知り合いなんていただろうか…?
「まさか、ジロウとか言うんじゃないだろうな?」
ヤマト 「いや、違う」
「というか、我々もそこまで認知してはいないんだ」
テセラ 「…?」
ヤマト 「本人が直接話すと言って聞かないんだ」
テセラ 「ふーん。まあ、危険な奴じゃなければ俺は会っても構わんが」
ヤマト 「そうか、では連れてこよう」
………
……
…
(コンコン…)
数分後、ドアの向こう側からノックがされる
テセラ 「どうぞ」
女 「こんにちは…」
そこに現れたのは女だった
ゼオよりも少しだけ年齢は高いだろうか…?
15~17歳ほどに見える
そして、この女を俺は見たことがある
不思議なデジャヴだ
「私のこと…覚えてますか?」
テセラ 「分からないが…分かる気がする」
女 「まあ、そんな感じですよね。私達が会ったのは、一回だけですから」
「エピスミア=ノウン…エピスミア様を覚えていますか?」
テセラ 「あぁ、俺が戦った天使族だ」
そして、記憶は曖昧だが、ヤマト曰く俺が殲滅したらしい
女 「私…エピスミア様の奴隷でした」
「ある日ですね、エピスミア様に連れられてB地区の市井に来たことがあります」
「その時にですね。向かい側から、私にぶつかってきた女の人がいたんですよ」
「それが貴女でした」
「まさか、ゲリラに所属していたなんて…」
テセラ 「あぁ…あの時の」
「その節はありがとう。お前が奴を止めて居なかったら、俺は死んでしたかもしれない」
女 「いえいえ、こちらこそ。あと、私のことはお前ではなく、『ルリ』って呼んでください」
テセラ 「あぁ、分かった」
ルリ 「それでですね、テセラさん。貴女がエピスミア様を殺したと聞いたんですが本当ですか?」
テセラ 「そうらしい」
ルリ 「そうですか…」
テセラ 「何だ?奴隷から解放されて嬉しくはないのか?」
ルリ 「え?いえいえ!そんなことは無いんですが、奴隷時代にもエピスミア様は私のことを可愛がってくれました」
「それがどんな感情かは分かりませんが、それでも温かい食事と寝床を用意してくれました」
「それなのに、奴隷から解放されたことにも喜びを感じています」
「なんだか、矛盾した感情が私の中にあるみたいで…おかしいですよね?」
テセラ 「いや、そんなことは無い」
ゲリラの『地球解放』というお題目が完璧に正しいのかと言われるとそうではない
逆に、天使族の人間支配も容認できるかと言われたら無理だ
この世には正しさなんてものはなく、あるのは主観とそれを同とする集団だけだ
だから、ルリのように人間と天使族それぞれに愛着を持つことは何らおかしくはない
それが、『大多数の』人間には違和感を感じようとも
「まあ、気持ちの整理はゆっくりとやればいい」
「ゲリラも年端の行かないルリを直ぐにたたき出すことはしないだろう」
ルリ 「そうですか…ありがとうございます」
言っていて皮肉めいたものを感じてしまう
自分ですら、気持ちの整理が出来ないのにも関わらず、どうして他人の助言をできようか
「えへへ、なんかお姉ちゃんが出来た気分です」
テセラ 「お姉ちゃん…か」
ルリ 「テセラさん。どうかしました?」
テセラ 「いや、何でもない」
俺達は、他愛のない会話を続けた
そうして、今夜は更けていく




