9.
ふぅ、やっと帰国できた。皇帝に気に入られちゃって、参ったわ~。こっちで仕事あるんだけど?ちょっと留守にしてる間に執務室に山のように書類が…!?
んもうっ!徹夜は美容の大敵なのに、これじゃ徹夜しなきゃ書類が片付かないわ!
私は超がんばった。
確か、明るい昼間から仕事を始めたはずなのにオカシイわね。小鳥の囀りが聞こえてくるわ。
はっ、イケナイ。もしかして、〇〇生えてきてる?いや~ん、女子として恥ずかしい!
早々に○○を退治しなくては!
「いけません、旦那様!」
もう、いつになったら奥様って呼んでくれるのかしら?彼は先代からうちに勤めている執事のモール。
「いいじゃない。○○の処理くらい!そして、旦那様じゃなくて奥様でしょ!」
「旦那様が幼少の頃より仕えております。旦那様は旦那様です!山のような書類を片付けて下さい」
まだあるの?徹夜までして片付けたのに?そう言えば、モールも徹夜かしら?
「モール、貴方は眠かったりしないの?」
「仕事第一です」
もう、こうなったら書類片付けるわよ。陛下にケネス帝国での話もしたいし。
私はものすごく頑張った。それから、モールの許可を得た上で徹夜で肌のコンディションが悪いけど、そこは化粧でカバー。
なんとかして、王宮に行った。ケネス帝国での二人の話とかしたかったし。
王宮にて、陛下にトロは元気に『ラルク商会』で働いていると伝えた。今回は『バード商会』も一緒だったみたいでヴィックスも合流。
「ケネス帝国なんだけどね、ずっと鎖国状態だったでしょ?今の皇帝、私と同じタイプの人だった」
陛下も妃殿下も微妙な顔をした。
「それで、二人で色々話したのよ~。このままだと情報が入ってこないからあなたのメイクとか時代遅れよって。そしたらアッサリ開国。やっぱり女子としては時代遅れが嫌なのね~」
「えーと、その方は生物学的には男性だよね?」
「ヤダ~!私と同じタイプの人って言ったじゃない!もう、陛下ったら!」
その場が微妙な空気になったのは言うまでもない。
「それで~、情報とかそういうのをこちらがケネス帝国に与える、ケネス帝国からは海産物を輸出する方向で話し合いはまとまったのよ!あとねぇ、トロが身分明かしちゃった。それまでは秘密にしてたみたい。ついでとばかしにうちのヴィックスの爵位もトロが明かしちゃって、ヴィックスがトロを怒ってたわ」
「仕事をするのには肩書が邪魔だったのかもしれないわね」
「さすが妃殿下!そうみたいなのよ~。それで、ヴィックスが怒ったの」