7.
俺は超特急で親父に手紙を書くこととなった。
―――拝啓 父さん
俺は、今ライレルク王国の『バード商会』で働いています。
その仕事でケネス帝国に行くこととなりました。
ケネス帝国の皇帝は父さんと同じタイプの人種(?)で、是非父さんと会いたいという事です。
俺の顔を立てると思って、ケネス帝国まで来てください。
敬具
追伸 ケネス帝国は海産物が美味しいです。
ヴィックスより――――
当然、俺の手紙は両商会長にチェックされる。OKが出た時点で、超特急で親父の元へと手紙が飛んでいく。文字通り、手紙を足に巻き付けてタカが飛んでいく。…親父は手紙に気付くだろうか?単純に「いや~ん、鷹が懐いてる~。超可愛いんだけど?」とか言いそうで怖い…。
ヴィックスから手紙が来た。ヴィックスはきっと手紙に気付かない私が「超タカ可愛い!」とか言ってると思うんでしょうけど、私は腐っても侯爵なのよ!やればできる子だもん。
ヴィックス父は頬をぷくっと膨らませた。…誰も見てないのに。
拝啓 父さんってヤダー!「父さん」なんて何年ぶりにあの子から聞いたかしら?
で、本文は何々?現在はやっぱり思った通りで『バード商会』で働いてるのね。ま、まともなとこで働いてるみたいで良かった。んで、仕事でケネス帝国に行ったと。皇帝が直々に私に会いたいの?もう、ヤダー?皇帝って私と同じタイプの人種(?)?よくわからないわ。皇帝、男前なのかしら?張り切ってケネス帝国に行きましょう!
こうしてケネス帝国に親父もやってきた。早いな。これが両商会の底力か?
皇帝とうちの親父は意気投合しているようで、皇帝の執務室から女子会(?)かと思うようなキャピキャピとした声が聞こえてくる。多分邪魔すると、ドスが聞いた声で「消えろ」とか言われるだろうからそっとしておいた。
「商会長!うちの親父がいつまでもすいません!!」
俺はさすがに長期滞在の原因となっているうちの親父について腰を曲げて謝罪をした。
「いやぁ、おかげで鎖国状態のケネス帝国に風穴を開けるくらいはできたかな?あとは商会長たる俺らの出番なんだけど…。女子って話が長いよね…。二人は女子(?)だけど(笑)」
はい、ゴメンなさい。
そしてトロ!
「俺は爵位とか気にせず働いてたのに、ぶっこんで。自分の身バレしたからって俺まで巻き添えかよ?」
「あはは、ゴメンゴメン。それにしても、ヴィックスの親父さんは相変わらずだね。変わらないね」
俺は変わって欲しい。年齢・性別相応の見た目をしてほしいものだと常々思う。
二人の会談(?)が終わったみたいで、この後は両商会長と3者面談みたいな感じになる。
「いや~ん、ヴィックス久しぶり~。ちょっと見ないうちに男前になった?」
なってないし。
「あら、トロまで。久しぶりね~。トロのお父様にはちょくちょく会ってるわよ。あ、もちろんお母様にもお二人とも元気よ。トロのことを心配してるわ。お父様が。お母様は、男の子なんだからって心配しすぎだってカツ入れてたわ、アハハ!」
笑えねーよ。親父が話してるのは国王と王妃の話だし。ちょくちょく会うとかオカシイけど?
3者面談してる方向から妙な話が聞こえてきた…。