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もう孫も抱いたし、満足ね。
ヴィックスが帰ってきたら、爵位をヴィックスに譲るって言おう。
余生は領地でのんびり過ごしたいなぁ。
「旦那様、それはなりません!」
「どうしたのモール?」
「ヴィックス坊ちゃんは王宮での仕事があります。加えて侯爵の仕事となると、かなりの仕事量となります。よって、旦那様にこのまま侯爵としての仕事をしていただきたく思うのです」
確かにね。仕事一辺倒だと、子供と遊ぶ暇もないわ。それはちょっと不憫ね。
「わかったわよ、余生とか言わないから。モールこそ、長生きしてよね。只今モールの息子を執事として教育中です」
「モール、結婚してたんだ?」
「ふぉっふぉっふぉ」
トロの嫁さん、じゃなくて王太子妃は王妃教育も終わってるし、私は譲位してのんびり孫たちと遊んで暮らそうかなぁ?
「陛下!譲位した国王というものは王都を離れ、遠い領地にある邸で暮らすのが定石ですよ?それを孫たちと遊んで暮らすなど…陛下ともあろうお人が嘆かわしい!」
「いや、悪かった。王妃機嫌を直しておくれ。まだまだ現役で国王をする。トロもまだ国王の器としては小さいからな」
「サツキ王太子妃は確かに王妃教育は終わってるんですけど、実践が足りないんです。実際にお茶会ではどのように扱われるのか、夜会では?など、まだまだ学ぶことはあります」
「うむ」
「今回、運よく男の子を授かりましたが、もう一人くらい男の子がいると安心です。女の子がいると外交的にも安心できます。それが王妃なんです」
「はぁ」
「なんで平民のように一人でいいなんて思わないでもらいたいわー」
トロ、頑張れよ。
トロと俺が親父たちに振り回される生活はまだまだ続きそうだ…。はぁ。