18.
俺の方は相手が見つかったので、お見合いという形になった。親父には場所を知らせていない。執事のモールには知らせてるけど、親父には言わないように口止めしている。
「ヴィックス=カイスターです」
眼前の女は商会で散々世話になった女。
「レイラよ。商会の時は言ってなかったけど、うちも一応侯爵家ライレルク王国のだけど」
なんだか気が抜けた。
「はぁ、なんだよ。一気に緊張感なくなった」
「失礼ね。あ、そうだ家名。ハリ侯爵家よ。うちは弟が継ぐから私は自由よ」
それでバード商会にいたのか。
「俺が侯爵家令息だってバレた時とか、対岸の火事って感じだったのか?」
「まぁね~」
こんな調子でお見合いは続いた。
俺は結局レイラと結婚することにした。
俺の親父と彼女との初対面。
「親父、かなり特殊な性癖というか、見た目だけど気にしないでほしい」
「わかった。かなり緊張する~!!」
「ヴィックス~!その子がレイラちゃん?いや~ん若いから肌がピチピチ。羨ましいわ」
「あの…」
「こんな親父でなんかゴメン」
「え?この方がお義父様なの?後妻さんかと思った」
「お義父様っていいわね。後妻ねぇ。これでも一途なのよ」
「この親父、出ていったおふくろを想い続けてるんだよ。ある意味気持ち悪いよな?」
「気持ち悪いとか言わないでよ!プンプン!」
彼女曰く「緊張してなんか損した気分」。そうだよな、わかる。
難航したのはトロの縁談の方だ。公爵家又は王家で妙齢。見た目がそこそこ性格が◎の娘とはなかなかいない。
商会長は仕方ないので、侯爵家まで爵位を下げた。
すると、当たりがあった。オサナイ侯爵家。
早速トロに報告。トロはアーバンクルク王国の国王に報告をし、こちらもお見合いをすることとなった。
東方の国の鹿威しが鳴る一室でお見合いすることとなった。
「初めまして、トロ=デ=アーバンクルクです」
「うふふ、初めましてじゃないわよ?仕事でよく会ってたでしょ?」
「あっ、荷物が重いときとか私が代わってたあの娘かぁ」
「その節はありがとうございました。まさか王子様とは…」
「でも、おかげで君は数カ国語が読めるんだよね?」
「発音も書くこともできないけどね」
「えーっと名前は?」
「サツキ=オサナイよ」
「うーん、サツキ。俺と結婚となると、結婚前に王妃教育しなきゃなんないんだ」
「体力には自信があるんだけど?」
「知力だよ?」
「「ハハハ」」
トロもサツキと結婚することにした。サツキは王妃教育を始めた。本人の申告通り、体力があったので学習速度が速かった。通常3年かかるものを1年で終わらせた。疲れ知らずだとトロは思った。