1-7 前途
今後にとって重要な部分を入れ忘れたので修正します。
魔法事故の後、大広間からミチカと異世界から現れたらしい不審者は、校長室へと連れて行かれた。
校長室は、校長としての立場を誇る様な調度品など無く。業務を行うための書斎の機能を前面に、貴賓相手に応接できる仕様の、至って標準的な部屋であった。
今、社長机に肘を付き手を組んで腕を立ててる、白長髪に白長髭で白いローブの老年である校長が静かに座り心地が良さそうな革椅子佇み。その後ろ、背にしている大きい窓から、弱く入ってくる陽光に照らせる校長室の中で。
ミチカと彼の二人は、応接用の背の低い机をを挟んで対になっている、長椅子に並んで座り。周囲に二人の教師が離れて立ち。校長の横にマルヒナが立つという構図になっていた。
全員が所定位置に着いたのを確認した校長は口を開く。
「それで今回の事であるがね。由々しき事態過ぎて、どう処理するか困惑してる」
いきな口から飛び出て来た、校長の弱気発言に。マルヒナが驚愕して口を開く。
「校長!!何を言ってるんですか?こんな大事をしでかすとか!最早、対処は一つですよ!!」
彼女は眼鏡を光らせ、キリっとした態度で。”退学”という二文字をミチカへと提示して来た。
彼女の強い口調に、うぅむ。と唸る校長や二人の教師も、沈黙でそれを肯定する様な顔つきになる。
ミチカもその言葉にショックを受けながらも、これに関しては仕方ないと。受け入れては縮こまった姿を見せる。
マルヒナは更に言葉を続けて。
「彼女は扉を開いた。これがどう云う事か、校長だって分かってますよね!?」
”扉”。この単語が出た途端に、一人を除いて周囲の人間がピリついた。
その例外は場違いの様に足を組んでは。威風堂々に長椅子に居座りながら周囲を見渡した後に。はぁ~、とため息を尽きながら口を開いた。
「ん、いや、そんなことはどうでも良いんだけど。俺はどうすれば良いんだ?」
呆れた様な口調で、彼は話を続ける。
「そもそもさぁ。どうやら魔術的儀式をしくって、召喚されたぽっいけど。ここって俺の世界とは違う場所でしょ?そこに来ての召喚事故。どうすんの?」
悪態を付く彼に対して校長は顎髭を摩りながら。
「ふぅむ。それに関しては、こちらはなんとも言えないのが現状でのう」
「へぇ。それで、隣の彼女を退学にすることで、今回の事を有耶無耶にして。俺をこの世界に放逐するのか?まぁ別にどうでも良いけど。面倒事たらたらだな」
くかかか。と失笑しているこの場の誰よりも偉そうにしている彼に対して。当然、マルヒナはキレる。
「貴方こそ、何ですか?その態度は!!そもそも―、」
「いや?俺、被害者やけど?」
キレ諭す口調をして、教師二人を困惑させるマルヒナに対して。彼は白けた目で彼女を見ながら口を挟む。
「それはそうですが!!しかし、」
それでも彼への態度が気に食わないマルヒナは負けじと食い下がって反論しようとするが。
「ふむ。しかしだが、今回の事は、事が事であるからして。色々と事後処理をしなければならないのでな。暫くは待ってはくれんかね?」
今度は校長が口を挟んで、マルヒナの言葉を宥め。彼にどうにかしようと持ちかけて来た。
「さいですか。それは中々、骨が折れそうで」
彼は、側頭部に手を当てて、期待してない顔でそっぽを向きながら返答する。
その返答に満足したのか
「ふむ。と、そういう事でな。こちらの対処が終わるまで、ミチカくん。君に彼の世話を任せてええかね?」
「えっ?」
「きひひ、そうかい。なんつうか、まぁそういう事なら宜しく頼むわ。くひひ」
突然、とんでもないことを振られたミチカは驚き。それを見て彼は態勢を変えて、何か面白がりながら顔の額を左手の甲に当てて引き笑いをする。
「うむ。そうじゃな、暫く頼んだぞ」
校長は、これでよし。と綻んで喜ぶ風な顔をして顎鬚を摩り。あぁそういえば。と彼に問いかける。
「君の名前はなんだったかね?聞いていなかっのう」
「まぁ聞かれて無いからな。・・・、八辻ソガレだ。宜しく」
あっけらかんと彼はそう名乗った。