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異世界の彼方で  作者: 牛丸
異界異端編 第一章
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1-3 失態

教室受けの教師からの連絡を受けた後から。午後の実技試験まで、何時も通りの授業が行われる。


魔法実技に重きを置いた教育指針を基に、授業は構成され。魔法使いとして一段階上へと成長していく。


そんな授業を受けながらも、ミチカは午後の実技について頭一杯で。授業にはあまり集中出来ておらず。


時折、教師から注意を受けることもあり、級友たちから笑われ揶揄われる。


深刻な顔をして上の空過ぎたのか、授業の合間に心配して声を掛けて来る子らがチラホラ居たが。


彼女に取って今日の授業や、心配してくれる子らなどはどうでもよく。一番重要な試験についての事ばかり考えていた。


あぁでもない、こうでもないと考えながらも。常に失敗という二文字が常に媚びりついている。


4時限目を終え、昼食時間に入り。この後が試験だと思うと。ミチカの憂鬱は頂点に入り掛けていた。


しかし、時間は無慈悲で。刻一刻と進んで行き。試験は近づいて来る。


仕方なしと。深いため息と共に軽めに昼食を取って、その後に術式の最終確認をするかと思っていると。


朝、登校中に声を掛けて来た女生徒が声を掛けて来た。


「あのね?マルヒナ先生がミチカちゃんを、呼んでいたよ?」


女生徒が出した、先生の名前を聞いて。ミチカは、何とも言えない顔をして憂鬱に絶望が加わった。



マジのマジで行きたくなかったが。


行かなきゃ行かないで。後々、究極に面倒事になると思ったミチカは。


嫌々ながらも、覚悟を決める為に。遅々とした足取りで職員室に向かった。


「はぁ~やだなぁ。面倒くさい」と溜息を多く尽きながらも歩いていくが、一向に覚悟なんて決まることは無く。


嫌々、嫌々としても、あの教師の面倒臭(こわ)さを良く知ってるミチカはそれでも職員室へと向かっていく。


3Fにあるミチカの教室から、2Fにある職員室の扉の前で着いたミチカは。そこで漸く覚悟を決めて、一際強く息を吐いた後に扉を開けた。


「失礼します」と一言入れてから職員室に入った途端に。件の女教師が、ミチカに対してもの凄い剣幕で睨み突けていた。



「貴方!自分がどういう状況か分かってるの!!」


女教師マルヒナからの何時も通りの怒号を伴った説教を、ミチカは淡々と聞き入れていた。


呼び出しを食らった時点で、こうなるのは理解しており。


元来からして周囲にも厳しい彼女は。その中でも特に落ちこぼれのミチカへは一層当たりが強く。何かに付けては説教をかまして来るのであった。


と言うよりも。何も無くても、彼女の機嫌次第ではお小言を貰う事は常で。


ミチカとしては非常に相性が悪い、会いたくない教師(ひと)であった。


しかし、それでも。


「貴方は何時も行ってる通りに努力が足りないのです。もっと良く授業を受けて術式の構成の質を上げないと―。」


クトクドと聞き捨てならない様な言葉を吐きながらも、ミチカへと説教して来る。。


ミチカとしても反論したい所であるが。ここで反論しても、碌な事にならないのは既に身をもって知っているので。ただ黙って聞き入れるしか無かった。


(これは、お昼は潰れるね)


今日自体、昼食は義務的に食べようとしてだけなので、その辺りは平穏に流せるのと。


普段からお小言を貰う身であるので。変に聞き流せる無駄な技術が向上した結果。


長時間お叱りを受けるる事になっても、疲労で困憊になることは無かった。


「だから言ってるのです。貴方みたいなの落ちこぼれが魔術を学ぶと言うのは、土台無理な話なのです!!わが魔法校に来なければ、こんな惨めな目に会わずに済んだのに。分からないのですか!?」


とは言え。毎度、女教師のお怒りには、ミチカも癇に障り。逆に怒りたくなる様な事が有る。


そもそも、女教師マルヒナは。こんな学校に居る方が可笑しい程の優秀な魔法使いの教師で。もっと上の学力の学校で教鞭を取るべき人物であるが。


相当にキツイ性格で、他の生徒にも厳しい目を持って接する事が多く。


前に居た学校でひと悶着を起したらしく、解雇されたとの事だが。エルセル魔導高令学校の校長が、彼女の優秀さを勿体無いと引き入れたとのことである。


それでも彼女の誇りが、それを許さないのか。大分キツく周囲の生徒へ当たるのだが。


そん中でも、特に落ちこぼれのミチカへは強く当たるので、他の生徒たちへの雷が。どうやらミチカへと被雷するようになってるのである。


成績を鑑みても、ミチカに取っては結構理不尽だが。マルヒナは前の事を反省してか。上手く優秀さを振りかざして、教師たちの筆頭へと昇り詰め。教頭の地位を得ていたのであった。



40分間。昼の休憩時間みっちり使ったお説教を受けたミチカは流石に顔をゲッソリさせて。職員室から解放されて、自身の教室へと戻る事になった。


深いため息を尽きつつも、やってきた午後の実技試験に臨もうとした。



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