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異世界の彼方で  作者: 牛丸
異界異端編 第一章
10/10

1-8 今後

明日、ミチカへの事情聴取の為に、現場検証を行う事を決め。今日の所は家に帰して待機させることになった。


とは言え、流石にそのまま一緒に”彼”を出て行かせる訳には行かず。


色々と聞くために事情聴取として、彼だけは居残りになった。


校長室での話が終わり、未だに怒るマルヒナを何とか宥めようとしてる校長と教師二人を背に、校長室を後にしたミチカは。全員帰宅させられた教室から鞄を取りに行ってから下校したのだが。


(大変な事になった。大変な事になった)


学校からの帰り道。


ミチカは朝とはまた違った。非常に困った事に頭を悩ませていた。


これから一体どうなるのかの心配事が尽きない。


歩みは遅く、体に不明な重みが乗っかて怠さが出て来る。


自分の不出来は理解してるが、一体どうしてこうなったと。答えの出ない自問自答に彼女は嵌ってしまい、あんぐりと歩いていると。前方に、朝に声を掛けて来た級友が、モジモジとして道端に突っ立っていた。



級友は、どんよりとして歩いて来たミチカを見つけると。あっ。と気づいたのか駆け寄って心配そうに声を掛けて来た。


「ミチカちゃん、大丈夫?」


心配そうに見つめる級友に、ミチカは青ざめた顔を取りあえず向けて会釈する。


級友はミチカが大分参っていると感じ取り、適度に間を取って横に並んで一緒に帰宅する。


暫く互いに無言になった後。級友は少し苦笑いしながら口を開く。


「それにしてもミチカちゃん。大変な事になったね」


遠慮がちな女生徒の言葉に、ミチカも頷く


「そうね。もう、散々だわ。なんで、こんなことになっちゃったんだろ。全く。」


「・・・ははは。それもそうだね」


はぁ。と大きく溜息を尽くミチカに。どうにか慰めようとしどろもどろする級友。


「あぁ明日、面倒くさいなぁ。どんな大言やらが飛んでくるのやら・・・」


もう一度、溜息を尽いて肩を落とす。


また暫く、互いに無言で歩いていく。


「まぁさ、そう心配していてもさ。結局は退学よね」


急に何かに吹っ切れた様な顔つきになり、諦めた発言をミチカは吐き出した。


「えぇ。困るよミチカちゃん!!私、ミチカちゃんしか友達居ないし、ミチカちゃんが居なくなったら寂しくなるよぉ!」


ミチカの発言に驚く級友を他所に。彼女はそれでも、綺麗さっぱりと諦めた口調で喋る。


「でもさ。今回しでかしたことって、人員的被害は無くて台座が一つ消失したけど。あぁ、一人腰を強打したって喚いてた奴居たわね。その位の被害だった訳だけど。それでも大事をしてる訳だし。どう見ても、議論の余地なしで退学よ・・・」


ミチカは言い終わった後、虚しくなって肩を落として、また溜息を尽く。


「じゃあ、もし、今回退学になったら。ミチカちゃん、今後どうするの?」


諦め状態のミチカを見つめつつ、級友は更に不安になる事を聞いて来た。


それについて寧ろ考えたくないミチカであったが。改めて突きつけられると、答えは自然と思いつく。ついてしまう。


「取りあえず、親に謝って。何処かに就職して、静かに暮らすかなぁ」


上を見上げた摩天楼の先。自身らを見下ろして来る空を見る。


今までの苦労が水の泡になったが、何処か綺麗さっぱりした気持ちに―。


(いや、違う)


今までの苦労なんてどうでもいい。不意に出て来たある顔に、彼女の感情はそんな話にされてしまった。


「そうか、それについてはどうしよう・・・」


また新たな大きすぎる不安を思い出して、気分が大いに沈んだ。


先ほどより大きく落ち込んだ彼女を見て、怖気ついてしまった級友は。


特に何も言えずに、ミチカを置いて行く速さで歩き去ってしまい。


ミチカはそのことに気付きもせずに。ただ、明日が来なければ良いのに。と思い学生寮(いえ)に帰宅した。



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