9/30
9
バス停に到着し、バスに乗り込む。俺と侑ちゃんは後ろ側の席に隣同士で座った。
「もっと俺に寄りかかっていいよ」
俺がそう言うと、侑ちゃんは俺に寄りかかる。その間、俺は自分の手を侑ちゃんの小さな手に重ねた。さらに侑ちゃんの手を握ったりさすったりする。車内だったので何も話せなかったけれど、沈黙が流れても侑ちゃんとなら大丈夫だと確信した。
*
帰宅後、侑ちゃんからお礼のLINEや一緒に撮った写真が届く。
【今日はありがとう! デートできて楽しかったです。写真も送るね。これからはそうくんの彼女としてよろしくお願いします】
その文面を見て、侑ちゃんが彼氏になったら呼び捨てしても良いと言っていたことを思い出した。そこで俺はこう返信する。
【こちらこそよろしく。楽しかったな。呼び方の件だけど、呼び捨てでもいい? 彼氏になったら呼び捨てしていいって言ってたから】
呼び捨てで呼ぶことの許可を得られたので、嬉しくなった俺はさっそく呼び捨てにしてみた。
【知ってる声がしたから侑かなって思ったんだ】