23/30

23

　カラオケ店を後にし、バスで俺の家に向かった。クリスマスなのでケーキを買っていこうという話になり、こじんまりとしたケーキ店に立ち寄る。チョコレートケーキ2個分の代金は侑が出してくれたけれど、俺は店員さんから「女の子にお金出させるなんて……」と白い目で見られている気がした。そこで帰り道に侑にお礼を言ったけれど、「店員さんが俺のことを、『女の子に奢らせるなんて、とんでもないやつだな。800円くらい奢ってあげろよ』と言いたそうな目で見てた」と言ってしまう。それでも侑は、これくらい大丈夫よと励ましてくれた。

　家に到着し、俺は野菜炒めと炊き立てのご飯を侑に振る舞う。その後は一緒に侑が買ってくれたチョコレートケーキを食べた。それから、テレビでサッカーを鑑賞しながら某通販サイトから届いた棚を一緒に組み立てる。侑の最終バスの時間が近づいてきたので、俺は侑をバス停まで送り届けた。もちろん、別れ際のキスも欠かさない。