過去
ある夢。それは...。
「いやー、楽しみだなぁ。」
「そうねー。父さんがテレビに出るなんて!」
「頑張ってね!お父さん!」
これは...?
12年前の夢だった。
あの、父さんが死んだ日の。
「じゃあ、行ってくるな。」
「行ってらっしゃい。」
「帰ってきたらお話聞かせて〜!」
「おう、分かったぞ!」
あぁ、これがあの日だったのか。
正直、5歳の頃の記憶はあまりなかったのだ。
それはきっと恐怖心で、記憶が薄れてたんだろう。
父さんは、死んだ。
テレビ局の人に、5歳の俺と母さんは怒られていた。
「何やってくれてんだ!台無しじゃないか!どうしてくれるんだ!?チョコの会社も、うちのテレビ局も、どっちも被害を受けているんだぞ!?」
「す...すみませ...ん...。」
母さんの途切れ途切れの声が耳によく響く。
あぁ、もう、泣きたいよ。父さん。
5歳の俺は、全然泣いてはいなかった。
逆に、何故か満足気な顔をしていた。
5歳なんかに死という概念は理解できねぇもんな...。
父さん...。
夢は終わった。
最後に一瞬だけ、テレビ局のメガネをつけた高身長の男がみえた。
「クソ...。テレビなんて嫌いだ。」




