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第13話 迷宮2

「よし、これで15階まではクリアだな、」


俺たちは順調に迷宮を攻略していった。


ここまでは特に大変なところはなかったかな。


収納にも倒した魔物の素材や討伐証明部位が入っているが、容量は気にしなくていいので道程の採取素材もガンガン入れている。


「とりあえずここで少し休憩しよう。

準備の間は警戒を頼めるか?

準備ができたらすぐ変わる。」


「あぁ、もちろんだ。」


ここはセーフティゾーンではないので、魔物の襲撃もある。


念のために見える範囲の討伐を行い、周囲に浄化水を撒いているから危険なことにはならないと思うが、気を抜くわけにもいかない。


今回はスープカレー風にしよう。


香辛料っぽいものがあったから、カレーを考えていたらレシピが浮かんだ。


調理スキル様々だな。


スープとパンを準備していると、シャオさんのお腹が可愛く鳴いた。


目線はスープにロックオンされており、お座りのまま待てをされている子犬のようだ。


「もうすぐできますからね。」


俺は笑顔でシャオさんに伝え、スープを注いでいく。


「よし、準備できたぞ。

ヒース、代わろうか。」


「おぅ、じゃああとは頼むぞ。」


そういうとヒースは一目散にスープのところに走っていく。


「おぉ、ちょっと辛いな、でも嫌いじゃない。

というか、ついつい手が伸びちまう旨さだな。」


喜んでもらえたようだ。


俺はカレーは中辛くらいが好きなので、今回は好みの味にしてみた。


実際自分で1から作るとなるとかなり大変だろうけど、スキルが思った味を再現してくれるのでとても助かっている。


「うん、美味しい。

それになんだか身体がポカポカするような…。

ヒースも感じない?」


ミリーさんも気に入ってくれたのか、あっという間に飲み終えてしまった。


「たしかにそうだな。

これは…保温効果がついてるのか?」


惜しい、半分正解だな。


これには身体強化弱と、外気変化耐性がついている。


3人とも動き回っているので気付いていないみたいだけど、このフロアに入ってから少しだけ気温が下がっている。


俺は討伐で動き回ることが少ないから気付いたけど、この3人は身体が温まっているのでわからなかったみたいだ。


まぁ隠すようなことでもないので、そのまま伝えておく。


「そう…だったのか?

たしかに前回このフロアに来たときは、若干動きが鈍くなったかなとは感じたが、疲れのせいだと思っていたぞ。」


「言われてみれば、たしかに火炎系魔法の効果が弱くなっているような気がしますね。

弱点属性が多いので気にしませんでしたが、これからは気をつけます。」


ヒースもミリーさんも漠然と不思議には思っていたようだ。


シャオさんは…恨めしそうに空になったカップを睨みつけている。


はいはい、お代わりもありますよ。


「それと、身体強化だけどあまり過信はしないでほしい。

いつもより少しだけ動けるくらいに思っておいてくれ。

余計な慢心は怪我につながるからな。」


「あぁ、了解だ。

しかしほんとにお前はすごいな。

前回はこのあたりで食料が尽きかけて、悩んだ末に戻ったんだよな。

今回はその時の半分も時間がかかってないぞ?」


たしかにここまでは早かったな。


体感で3日くらいか?


一応休息もきちんと入れているから、疲れてはいないと思うが、その辺を管理するのも俺の仕事だからな。


「ヒース達はこの先は全くの未経験なのか?」


「あぁ、さっきも言った通り、前回はここで引き返している。

経験はないが、他の連中から話は聞いているから知識は少しあるぜ。」


「なるほど、念のために確認しておくが、20階のフロアボスはどんなやつだ?」


「20階は通常ならオークキングだな。

10階のフロアボスのだいたい3倍〜4倍の強さだろう。

それに複数のオークを連れているから単騎特攻はできないと思う。」


「そう、か。

なら俺が強制催眠の道具を使うか。

ボスフロアの前で耐性のつく薬を渡すから覚えておいてくれ。

この薬は強すぎてお前たちも眠っちまうだろうからな。」


「おいおい、どんだけ準備してんだよ。

今まで使ってた睡眠誘発の薬でも眠くなったってのに…。

それほど強い薬に耐性つける薬だって?

なんだかヤバイもんじゃないだろうな?」


「まぁまともではないな。

これを使うと強制的に2日は眠れなくなる。

まぁ解毒薬も準備してるから安心してくれ。」


「全く安心材料にはならないな。

まぁお前が言うんだから間違いないだろ。」


信じてくれたようで嬉しいよ。


まぁ俺もこいつを使うことになるとは思ってなかったし、万が一の為に準備だけしてきたのだ。


まさかいきなり使う羽目になるとは思わなかったけどな。


周囲警戒を行いつつ、ウォッシュの魔術で使ったカップなんかをキレイにする。


ホント便利だよな。


料理は作るのは楽しいんだけど片付けるのが面倒というか、洗って拭いて片付けるのが少し手間だったんだけど、ここならウォッシュ→ドライ→収納で済んでしまう。


収納しておけば菌もつかないし欠けたりもしないからとても助かる。


準備を終えた俺達は、次のフロアに進む。


「ヒース、さっき通常ならって言ったよな?」


「あぁ、よく聞いてたな。」


「ってことは、通常じゃない場合もあるんだよな?」


「もちろんだ。

極小確率だが、オークキング以外の魔物も確認されている。」


「ちなみにどんなやつだ?」


「そうだな…。

確認されているものだと、ゴブリンキング、ゴブリンメイジ、ゴブリンジェネラルのゴブリン集団。

それにオークキングの上のエンペラーが率いるオーク集団ってところか。

まぁ難易度が跳ね上がるだけだな。」


「簡単に言いやがって…。

そんなのに当たった日には全滅だぞ…。」


「まぁな。

だが、冒険者なら当たり前のことだ。

俺達は冒険者になるときに、遺言を済ませてある。

俺とミリーは田舎から出てきてるが、親兄弟もいるからな。

俺たちに何かあれば、ギルドから多少の見舞金が家族に贈られることになってる。

これは別に迷宮に限ったことじゃないが、俺達はいつ死ぬかもわからない世界にいるんだ。

今日うまくいったからって、明日もそうとは限らねぇ。

だから毎日を精一杯やるのさ。

それこそ悔いが残らねぇようにな。」


その言葉にはっとさせられた。


俺はまだどこかに甘えがあったのかもしれない。


たしかにここは常に死と隣り合わせになっている世界だ。


くそ!


俺は馬鹿か。


俺だって経験したじゃないか。


朝元気に出ていった父親が、数時間後には息をしていないことがあったはずなのに。


両頬を思い切り張って気合を入れ直す。


用心だけじゃ足りない。


やり過ぎなんてないんだ。


心を入れ替えて次の階の扉に手をかける。


「頼むぜ!ポーター!」


俺はヒースに頷いて、次の階へと足を進めた。


雪の被害がすごいですね。

大変かとは思いますがくれぐれもご自愛ください。



誤字、脱字、表現の問題等ありましたら、ご連絡をお願い致します。

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