冒険者ギルドにて2
「そういえば、、この前クエで立ち寄ったアウドラ村に東剣使いの剣士いなかったっけ?」
「ケンゴウとかいう職で、、、確か、、、ヤ、、ヤキュウ?じゃなかったかな、、」とガイアさん。
惜しい!それは剣ではなくバットを振るやつですね。
「剣豪で柳生さんですね。師匠でした。」訓練場に歩きながら説明をする。連続クエスト『ソードマスターへの道』、、、たしか、クランの中で数人が8番目か9番目を攻略中だった記憶が、、。
「健剛で野牛産か、、、、って師匠?!噂だと、間合いが上手く掴めず気が付くと頭を打たれてるとか聞いた。」
「一度手合わせしてみたかったが、立ち寄った時にはシュギョウの旅に出たとかで会えなかった。残念がってたよなあジン。」
訓練場に着く。学校の教室ぐらいの広さで下は土で壁は板張り、、、、、相撲部屋みたいだな、、、。
おや、竹刀もどきがある、、、、。
「皆さんは武器ってどうされてます?」アイテムボックスがあるのか探りをいれてみる。
「アルちゃんはアイテムボックス持ってないわよねぇ、。小だと50㎝ぐらいの箱、中で1.5mぐらいの箱、大は2mぐらいかしら。ちなみにお値段は金貨10枚前後、100枚、500~枚。出先は宝箱。大はほぼ大商人、貴族が独占ね。」
結構なお値段、、、、。
「CランクPTで中を1つ、個人で小を持てればそこそこのPTってとこかしら。大きさも厳密じゃなくてイメージ的にはスライムっぽい感じ?ある程度長くても間口が狭くなって奥行き長くなるわ。」
「買ったら魔法陣に血を垂らせばその人の所有物と所有権の無いもの、、ドロップアイテムとか倒した魔物とか。但し生きてるものはダメ。お店で売ってる物や他人の所有物は入らないわ。」
「まあ、、奪って暫く持っていれば入るようになるけどな、、、、。盗賊とかがこれだな、、略奪してアジトにしばらく置いとけば入るようになる。登録しなければ誰でも出し入れ自由。」
俺のアイテムボックスはゲーム仕様で、100枠各上限999大きさ制限無し。すばらッ!!!!! 「実は師匠から小を餞別としていただきました。」
「太っ腹ししょーすげえ!うらやま」
柳生さんは前提クエストクリアしないと居ないんですよね、、、、この2番目のクリア報酬は免許皆伝。刀装備限定で腕力、知力に基本数値+2・・・・2番目で免許皆伝、、、最後の報酬って何かな、、、。
十六夜をアイテムボックスに仕舞う。ガイアさんが一瞬硬直する。じーっと前垂れを見ている、、、、。あ、、、、ドーラさんに耳を引っ張られながら武器置場の方へ、、、、。
「師匠、ということは結構いけるくちか?手合わせ頼む。」ジンさんが木剣を持って中央に立つ。大きさはバスタードソードぐらいかな。
「ではお(れじゃないや)わたしはこれで」竹刀もどきを手に取って中央に向かう。
「アルちゃんお手並み拝見。」
中段に構えるジンさん。対する俺は両手をダラリ、とおろして相対する。
「いいのか?」そう言うと3m程の距離から一歩ジンさんが前へ出ようと右足を動か、、、、
ターーン
面を俺が打った音が響く。背が低いので額と言った方がいいだろうか、、、、。
信じられないような目が俺に集中する。
「・・・・・・穿いて無いのか?」
おいガイア!どこ見てんだよ!!Iバックつけとるわ!
どうやらゲームだと基本数値+2だが、さっき森でボアを切った時もそうだが体が滑らかに動く。
これがスキル?感覚?に変換されているみたいな感じである。スキルに免許皆伝はないが、、、。
ドーラさんやガイアさんとも数回打ち合った。
曰く。
見ているのに何時の間にか目の前に来て打ち込まれる。
体を動かそうとした時には打たれている。
目の前に居るのに離れている感じがして前に出るのを躊躇ってしまう。
だそうだ。
「すごいな、、、ここまでとは、、、」
「付き添いいるのこれ?」
「あの、、、。薬草はどれ、とか外で集めて食べれる物がどれ、とか道から離れての動き方、とか野営の仕方とか全然、、、、、」と俺。
「「「「あーー--」」」」合唱された、、、、。
うーむ、、、、ちょっとスキルの件+αをカバーしておくか、、、。
「剣の修行が終わった後、『儂もまだ修行の身だ、お前はお前で実戦の経験を積め、型通りに動いてはすぐ死ぬぞ。試合ではなく死合の経験を積むがよい!』で、、、別れたのですが、、。」
「それ以外全然教えて貰ってなくて、、、、」下を向きながらモジモジと話す。
「と、取り敢えず準備して町の外に出るのですわ。野営装備はありますから今晩は一緒にですわ!」
「だね、アルちゃん、その都度教えるから、解らないようだったらなんでも聞いてね。」
「ありがとうございます!宜しくお願いします。」ペコリと頭を下げる。
よし、これで、ゲームではなく、ナマの生活が体験できる。ゲーム中じゃ衣食住、特に就寝なんて経験出来なかったからなあ、、。
・・・・・金も無いしな。助かったぜ。
後は、、、他にも誰か此処に来ているかを探さないと、、、。一番は現実世界に戻ることだが。この感覚は決して夢じゃない。匂いが、触覚が、訴えてくる。これは現実だと。
ボアを切った感触。現実世界ではあんな物を切った事はない。しかし、その感触はバイト先で肉を切った事を連想する、、、。
ボアは、、、切れた。気分も変化は、、、、無い。
では他の、、、、、。ゲームや漫画でよく見聞きしたのは人型を切れない、又は、切った後、罪悪感や他の感情が出たり、、、、それが、、、俺に出るのか。
躊躇や迷いが出たらすればそれはケガや死に繋がる、、、。ゲームの様に動けるのか、それは実際と同じなのか。または死んだら復活するのか?・・・・不安の芽は早めに摘み取らなければ、、、、。
「よし。先ずは薬草、食べれる物の探し方を覚えようか。町の外に行こう。東門の先、ホルス草原に行こう。」
ジンさんが木剣を戻しながら皆に伝える。
「そうだな、あそこならホーンラビットもいるから夕食の材料にもなるし一石二鳥だしな!」ドーラさんがもう先頭で歩き始めている。
・・・・・・・ゲームではフィールド上のいろいろな所に竈と鍋が設置してあり、そこで基本調理器セットを使えば持っている食材の種類、数によって作れる
料理を選択し作成できた。
が、、、この状況だと自分で作らないといけないかもしれない、、、。
夕食、、、、、居酒屋のバイト、、、通用するかな、、?
魚ぐらいならさばけるけど、鳥、豚、牛なんか解体なんかしたことない、、、。
てか、食材はもしかして魔物とかマモノとかまものとか、、、、??
複雑、、、、。