#1 異世界へ、そして、妖精に出会う。
フツーの女子高生が異世界転移してチート使って王国作る話です。
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暑い夏の日……学校から帰った時の事だった。私は早く涼しい部屋でゲームがしたい!という欲望に負けられず、急いで家まで帰ってきた。今、ドアの目の前に立っている。
「はぁ〜っ!たっだいまぁ……へ?」
勢い良くバーンとドアを開け放つと……なんと、その先は家の内部ではない。
“異世界”という言葉がお似合いの、いや、正しく異世界である。私は訳が分からず、1回ドアを閉めてまた開けてみた。だが。
「ぐぬぬぬ……家じゃない。ハッ、これはまさか異世界転移ってやつ?そう、そうよ!私は選ばれしこの世界からの召喚者!……なのかな?」
腕を組んで唸る。なんとかして家に入りたい。
別にドアの先に進んで異世界だと思わしき場所に行ってもいいのだが……やはり万全の準備を整えなければならない、気がする。
「はぁ……お母さんはいないし、窓も空いてないしなぁ……家ん中入れないじゃん」
敷地内をグルグル歩き回っているが、一向に良い考えが浮かばない。なら、ここはいっそのこと……
「……この先に行ってみるかぁ?」
私にはその考えしか出てこなかった。
「うん、もしかしたらあの世界でなんかしたら家ん中入れるようになるかもしれないし。
……よし、行くか」
そして、一歩を踏み出したのだった。
「わーーー、凄い……!正に異世界だ」
ぐるりと一周見渡す。ちなみに飛ばされた所は、洒落た煉瓦の道に立派な噴水、辺りに立ち並ぶ沢山の出店などがあり、遠くには美しい白い尖塔が見える。
そして、歩いている人々の中にはエルフに亜人、ドラゴニュートや小人族……が混じっている。これで確信した。ここは本当に異世界なのだ。
「やっぱり私は異世界転移したのね!これでクソみたいな高校生活を送らなくて済むんだ!あぁ〜、夢みたいだ……」
頬に手を当ててうっとりした顔をしていた私だったが、重要な事に気づき、真剣な顔に。
「チート。異世界転生だか転移したら手に入れられる最強の能力……!私にもあるの……?チートがっ!?」
チートチートと騒いでると、上から、つまり空から声が聞こえてきた。悲鳴だ。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!そ、そこの人間っ!茶色い髪のぉ、変な服着てる女の子っ!避けて、避けてぇぇぇえ!」
茶色い髪の変な服着てる女の子……?これが自分の事と理解するのに2秒かかった。
「私じゃん!?え、えぇ、えーと、うわぁぁあ!」
「い、いやぁぁぁあ!ぶつかるぅぅぅう!」
ぶつかる……!と思った瞬間、おでこの上辺りに手を伸ばして落ちてきた何かを無意識にバシッ!!と掴んだ。
「んぐ、ぐぬぬぬぬぬぬ……く、苦しい……」
「あ、あぁ、ごめんなさい!」
パッと手を離すとヘロヘロと妖精が落ちてきた。
「うわぁ、妖精!妖精だっ」
私は目を見開いて妖精を目視する。妖精は困ったような顔をしてしゃべりだした。
「あの、助けてくれてありがと。アタシはメイリア。アナタが言ってた通り、妖精なんだけど……ねぇ、ちょっと聞いていい?」
「え、何?」
「アナタ、この世界の人間じゃないでしょ?」
「……!?なんでその事を?」
「力を感じる。最強の力、チートよ。チートはこの世界の人間には使えないもの」
「私にチートがあるのっ!?教えて、教えてくださいっ!」
浮いてたメイリアという妖精をガシッと手で掴んで前後に揺らす。
「うばあぁぁ、んわぁぁ、やめて、やめてってばぁ」
「あぁ、ご、ごめん……で、私のチートはどんなのなの?」
「せっかちねぇ。別にそんなに急がなくてもいいんじゃ……」
「今すぐ!今すぐ知りたいの!だから、お願い!」
真剣味を帯びた目でジッとメイリアを見つめる。メイリアは困ったようにうーん、と唸る。
「そうだ、条件をつけましょう。アタシがアナタのチートの能力を教えてあげる代わりに、アナタはアタシの願いを聞く事。これでいい?」
「いいっ、それでいい!だから教えて!私のチート!」
「分かった教える。アナタのチートは……」
ゴクリ、と唾を飲む。緊張感が漂い……
「“創造”よ」
「“創造”……それはどんな力で……?」
「そのまんまよ。アナタが脳内で創造した物を実体化させる力。どんなものでも出せる」
「おぉ……これって結構凄い力なんじゃ……?」
「まぁ、そうね。結構凄い力だと思う。アタシの中ではね」
これから私の新しい人生が始まる……!そう思った途端、ワクワクしてきた。
「さ、アタシの願いを聞いてもらうわよ」
「あ、そうだ。何?願いって?」
「アタシの、アタシの願いはね、アナタに王国を作って欲しいの」
「王国……?」
「そうよ、アナタのそのチートで作って欲しいの」
「でも、なんで?自分で作れないの?」
「妖精は守る者。新しく生み出せない。それにもし作ったとしても大量のお金が必要だから、一瞬で破産しちゃうわ」
「そう……別に作るのはいいけど。私がその国の国王になって業務に追われることになるなんていやなんだけどなぁ」
「業務はアタシがやるわ。だからお願い、国を作って!」
「なら別に……いいけど」
「よっしゃあ!ありがと。恩に尽きるわ。そうだ、アナタの名前を聞いてなかったわね!教えてよ」
「あー、そういえば。アタシは山内恋歌。よろしく、メイリア」
「ふーん、ヤマウチレンカ……んじゃ、レンカ・ヤマウチね」
「おー、いいね、レンカ・ヤマウチかぁ」
と、気になった事ができた。
「ね、メイリア……なんで貴女は私に国を作って欲しいの?」
「あぁ……それはね」