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異世界パチンコ経営記  作者: 大野英幸(ひでこう)
5/9

営業日誌①

営業日誌とは言っていない

 

 例えば自分の人生の話がパチンコになったらどう思うのだろうか。

 金銭は絡まないものとして、だ。

 大げさに表現され、誇張された話にされ、過激に光線を放つ枠や画面にされて最後に数字か、記号かが止まる。

 大雑把に言えばパチンコになるとはそういうものだ。


 打ち出された球が人生のなかで試すことができる回数、スタートチャッカ―にはいれば試すために行動した回数、演出が成功すればそれは人生で成功したことの一つ。

 そう考えてみれば、面白くもおかしくもなるかもしれない。

 

 ———————————————————————


 さて、ここは異世界にあるパチンコ屋。今はその日の営業が終わり、店を閉め、清掃作業だ。

 売上については異世界の通貨で支払われているが、金銀銅のレートで計算し直さなければならないのだろうか? と思いつつ元の世界に戻る手段がないので、どうすればいいかは今はわからない。

 

 そういう金銭的なことは、元の世界に戻ることができてから考えることにしている。

 

 このパチンコ屋はそこそこの大きさの敷地まるごと、建物も異世界に飛んだわけだ。なぜそうなったのかはわからないし、誰も確かめようとはしない。そもそも、確かめる術など店員さんにはないわけだが。

 異世界に飛んできたついでに、もともとあったパチンコ台も変わってしまった。最初は見慣れない台がシマにあると思った。大体はこのメーカーだろう、という特徴はあるし、役物やギミックはその台に似ていたり似ていなかったりしろ、と大雑把な感じである。詳しくは覚えていないが、混ざっているやつもあるかもしれない。


 店員さんは台の盤面、ガラス、上皿下皿、枠を拭きながら、いろいろと思い出しながら誰もいなくなった店内の清掃をしている。

 最初は大きな地震と共に停電が起きたと記憶している。夜中の閉店作業の最中だったはずだ。

 今となっては遠く昔の話という感覚で、確かにそうだったかな? というあやふやな記憶だが……。

 とても不思議な状況であることは間違いない、まるで気まぐれな神様が気分でやりましたというような話の中にいる。仮にそうであっても、別段驚くことでもないが。

 もともとパチンコの時点で、気まぐれで当たったり外れたりするようなものだ。神様がいたとしてその匙加減はスタートチャッカ―に入った瞬間にどうせ決まるのだから。

 

 意志を、意識を動かした時、それが正しい正解か失敗かが決まるのだ。極端な話、パチンコの当たり外れとはそういう形になる。

 店員さんとしては店がどういう風にやっていようが”そう考えた方が早い”のだ。

 

 …………元の世界でこんな話は通用しない。通用しないが、それはそれで別にどうでもいい話である。

 この場所でパチンコ屋を営業し始めてから、入ってくる人たちはみんな

 

 ”そんなことはわかっている”

 人しかいないのだ。


 思い出を並行していくパチンコ台が多い気がする。そして、題材となった話の本人が確定でやってくる。

 

 さて、疑問が起こるが、ここにあるパチンコ台のものはどういう風に作られたのだろうか?

 なんせ題材となった話の、登場人物が、年老いたか、少し時間が経ったか程度の老け方、時間の取り方をして、自分の出て居る台を打ちにやってくるのだ。

 本人が出てくるゲームを本人がやるような気分だろうか? 店員さん的にはゲームで主人公の名前を自分に設定し、プレイする程度の感覚だとは思っているが、本当にその本人であれば、こっぱずかしいものでしかないと思うのだが。



 ここは異世界のパチンコ屋。店名は隠れてしまってわからない。なんのためにあるのかわからない。これは、そこの、そういうパチンコ屋の話。

 

この話はフィクションです。

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