プロローグ「4人の勇者と終わりの悪」
パチンコの演出→客と店員が仲良くダベるみたいな流れで読んでください。
さて、いつかの時代かもわからぬし、また何時の世の中なのかもわからぬ。ただ見えている物と言えば、死屍累々の地面が遠くまで広がっている。その中に都合がいいように地面がある。
四人の少年少女、老人、中年がいる。彼らの目の前には幻想的に光るなにかがいる。
ーー悪。
その悪の形であるが、黒いモヤ、いや赤色にもなっている。赤黒い色にも見える。これは悪の色で合っているのだろう。
少年少女、中年と老人の四人は青いモヤで覆われている。これは正義の色を表しているのだろう。
4対1の戦いであるが、その悪は大きな体格を持ち、地の果てまで体があるようだ。
そして悪は咆哮、その咆哮により地面が揺れる。空気も揺れる。
四人は身構えた。勝負を決める、と味方意思の籠った目で仲間と頷き合う。
そして、中年が走った。
老人がそれを見た。
即座に老人の周囲を火が、炎が包む。
同時に、少年が走り、前に出る。
中年は悪根本にたどり着き、勢いのまま持っていたーー
斧を、悪に向かい叩きつける。
赤黒いモヤが一瞬、避けるように晴れる。中には鱗におおわれた生物の姿があった。
それを追う炎の筋。老人の指先に炎が集まり、一筋の光となり、炎は悪に向かって真っすぐ突き進む。
空気が歪み、捻じれ、さらには震える。
少年は体全体から光を放つ。少女は、老人の後ろで祈りをささげる。姿が見えぬ神に。奇跡を求めて。
中年はその目の前の生物、腹と思わしき部分に向かって得物を、斧を力強く突き刺した。
唸り、咆哮が挙がった。中年は暴れまわる悪の力に逆らえず、ならばとそのまま斧を上に放り投げた。
さらにモヤが薄くなり剥がれ、悪の首らしき、頭らしき部分が見える。老人から放たれた炎が、斧にまとい付く。
炎は悪を燃やし、焦がし、モヤと表皮を蒸発させる。
モヤが完全に晴れ、露わとなった悪、鱗に覆われた生物は長い首を落とし、見えなかった頭を地面に落とす。
——効いている。
少年はさらに走り出す。そして大きく飛び上がり剣を振りかざし、大きく掲げた。
それは少年であるというにはあまりにも雄大に感じるように、大きな存在と見紛うように。
少年が狙うは、弱点であろう部分の頭。生物であれば確実な弱点の場所。
老人は力を使い果たし、少年に後を任せると言い、仕事を終えた安堵からかその場に座り込んだ。
中年は武器を放り投げた勢いで、体勢を崩してしまっていた。
少女はただひたすら祈った。あるか、ないか、いるか、いないか、それもわからない、ただ一つの願いと思いのためだけに。
少年は、悪に狙いをつけ―—
ほんの一瞬の出来事だろう。時間にしてみたら対峙してからここまで、2~3分もかかっていないだろう。彼ら四人にとっては、感じている時間は2倍や3倍どころでない、濃縮された時間の中で、ここまでの動きをしているのだろう。
ゆっくりとした意識の中、少年の剣は、仲間の思いを、意志を、少年の力を加えて――
——悪に、突き刺さった。
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この話はフィクションです。