異世界生活-8
ホッシーノさんの地獄の特訓が始まって、10日経った頃。
「ホッシーノ。直人さんはどんな感じかしら?」
「体力、筋力共に問題なく仕上がってきてる」
「そう。それでは明日から午前をホッシーノ。午後を私との特訓にしても問題無いかしら?」
「いい」
「ありがとう。それでは直人さん。明日から午前はホッシーノと、午後は私と特訓と致しますわね」
「はい。分かりました! よろしくお願いします」
翌日から、午前中はホッシーノさんと、基礎体力作りと体術の特訓。
午後はホッシーヌさんと剣術の特訓。
最初は午前と午後で違う武術の特訓に、頭の切り替えと言うのか、身体の切り替えに慣れる迄大変だった。
そんな特訓から1ヵ月が経とうとする頃にはすっかり慣れて、筋肉痛も無くなり、大分身体も楽になった。
特訓期間の終了に近付くと、段々と特訓内容も濃くなり、剣に魔力を流したり、剣技の型を習得したりと、かなりハードな特訓になってきた。
体術の方も、一点集中で魔力を流して放出、体術の型と、こちらもハードな特訓で既に身体がボロボロ状態。
「休憩」
『ホッシーノさんから休憩なんて珍しいな』
「ホッシーナ! 椅子、テーブル、ジュース」
「ハイ! 直ぐにご用意します」
『こいつはパシリかっ!』
「直人、何でカッモ~ンヌ?」
「ん?」
「詠唱ですわね。私も気になっていましたけど、詠唱は人各々ですから、別に構わないのですが……」
ギクッ
『まさかこいつー』
「あぁぁ、あのね。それは……」
「いや、オレに説明させてくれないかな」
「あー。何となく分かりましたわ。ホッシーナですね」
「はい。最初に "炎よ! カッモ~ンヌ" って教わりました」
『チクショー! だからこいつあの時笑ってやがったんだな』
「全く、ホッシーナは……」
「ちょっとフザケタだけよ……後でちゃんと教えようと思ってたもん……」
「貴女なら、魔法詠唱が何れだけ大事なことかくらい分かっている筈ですわよね」
「うぅぅ」
「直人さんの魔法を見ていると、詠唱してから具現化されるまでのタイムラグがありますわ? 直人さんは詠唱してから頭の中でイメージしていませんか?」
「……言われてみると確かにそうかも知れません」
「やっぱり……そもそも詠唱と言うのは、具現化して放出しやすくする為の祈りみたいなものなんです。つまり、頭と体に具現化する魔法を覚えさせて置いて、詠唱で引き出すのです」
「えっと……すいません。どういう事ですか?」
「そうですわね……例えばですが、炎魔法1と詠唱すると炎弾がでたり、炎魔法2と詠唱をすると炎の壁が出てきたりと、予め頭と体に1と2の魔法を覚えさせて置いて、そして詠唱によりそれらの魔法を呼び出して具現化、放出するのです」
「ウンウン」
『ウンウンじゃねーだろ、こいつ! かなり大事なことじゃねーかよ!』
「成る程、分かりました」
「今ならまだ修正出来ると思いますので、自分に合った詠唱の言葉を作って下さい」
「何でもいいんですか?」
「ダメ」
「詠唱の言葉は、覚えやすくて、瞬時に唱えられる事が大事ですわ。ですので、あまり永い詠唱はお勧めしません。何故かは、永いと窮地の時に間に合わない可能性が有ります」
「分かりました」
「それから詠唱は口に出して唱え無くても大丈夫です。頭の中で唱えても同じですので、ですが口に出した方が確実性が有ります」
「その辺りはホッシーナにも聞きました。ホッシーヌさん程詳しく教えてくれなかったけど」
「なによ……」
「時間が無い。詠唱は自主練」
『たまに入ってくる合いの手みたいなタイミングで話に入ってくるよな』
「分かりました」
「直人、詠唱の言葉は一生使うつもりで考えなさいよー」
「オマエが言うな!」
『ったく、こいつが最初からちゃんと教えてくれてればこんな事にならなかったのに、分かってるのかよ』
「なによ。直人まで……」
「もうお昼」
ホッシーノさんの一言で昼飯となり、オレは飯をちゃちゃっと食べて、残りの休憩時間を詠唱の自主練にした。
午後からのホッシーヌさんとの特訓も終わり、帰ろうとすると…
「直人さんちょっといいかしら」
「はい、何でしょうか?」
「特訓終了まで後10日、明日からはホッシーノと組手を3日して、その後私と3日間剣の模擬戦、そして2日間は私とホッシーノを相手に模擬戦、ラスト2日間は魔獣との実戦、このスケジュールで進めたいと思いますが宜しいですか?」
「はい。構いません!」
「明日からは今まで以上に辛い特訓になると思いますので、今日はゆっくり身体を休めて下さいね」
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次の更新では、模擬戦と魔獣との戦闘を書いてみたいと思います!