異世界生活-5
「ではでは、ハッキリ言って治安はものすごーく悪いからね!」
「ど、どんな風に悪いんですか?」
「簡単に言うと。強盗、誘拐、殺人とか何でもアリかなー」
「は…?いやいや悪すぎでしょう…。ってか怖いんですけど」
「でも、ほら、大丈夫だよー」
「な、何がどう大丈夫なの?」
「町で暮らす人とか見たでしょう?皆普通に暮らしてたよね。要は怪しい場所や怪しい人に着いて行かない事!」
「それだけでホントに大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫、直ぐに慣れるよー」
『スッゲー軽くて信用出来ねーよ』
「まぁ…気を付けて行動するよ…」
「慣れるまではそれが良いわね。それと法律何だけど…簡単に言うと領主やお金持ちが法律って感じかな…」
「はあ?なにそれ。有って無いようなもんじゃん!」
「ちゃんとしてる所はちゃんとしてるわよ。悪い事したら罰せられるし、一応警備兵も見回ってるみたいだし…」
「どうせ一般市民だけだろう罰せられるのって、良く普通に暮らせるよな」
「この世界しか知らない人はこれが当たり前なのよ」
「嫌な世界だなぁ」
「アタシも最近になって来たから、治安とか法律はこれぐらいしか分からないの…」
「全ては暮らさないと分からないって事だな!」
「頑張って!次は直人がやらなければいけない事を説明するわね」
「魔人退治だろう?」
「まぁそうなんだけど…先ずは特訓ね!3ヵ月でそれなりになって貰うから覚悟するんだよー!特訓が終わったら仲間作って、冒険者登録して冒険の旅に出て貰うからね!」
「何で3ヵ月なんだ?」
「アンタね!アタシだって忙しいのよ!ずぅぅっと一緒に居られないの!3ヵ月だってムリにお願いしてやっと許可されたのよ!感謝しなさい」
「何か段々オレの方がお願いしてる立場になってね?」
「そ、そんな事無いわよ…ん?直人が流れ星にお願いしたんじゃなかったっけ?」
「まぁいいや…それで特訓が終わったら冒険に行くのな。あれ?特訓終わったらさぁ、瞬間移動で最南端の島に行けばいいんじゃないの?」
「はぁ…アンタねー、たった3ヵ月の特訓じゃスロットが一個増えるか、魔法が2種類覚えられるかってくらいなの、特訓だけでスロットも魔法も全部なんて何十年も掛かるわよ…」
「えっ!そんなにかよ…ちょっと簡単に考えてた」
「一番早いのは実戦ね!魔法を使うタイミングだったり、魔力の流し方や魔力量の調整とか、魔法は感じると言うか…感覚で覚えるのね。だからアドバイスは出来ても、こればかりはホント才能に左右されるの。効果的なのは、窮地に陥った時に何れだけ冷静に、的確に焦らず対処出きるか、かなー。奥が深いのよ!魔法って」
「才能とかマジかぁ」
「最初から火魔法が使えてるから才能ゼロって事は無さそうよ」
「ちょっと安心した」
「それで冒険者になって、実際に魔獣退治しながらスロットと魔法増やして貰うんだけど、他にも調べて貰いたい事があるのね」
「何を調べるんだ?」
「魔獣が活発になっている事を3国が知っているのか?知っていたら対策は有るのか?知っているとしたら国民まで周知されているのか?冒険者組合はどう動くのかとか、それとちょっと気になる報告があって…」
「3国って確か…ロイドリー王国、バルーセロ王国、マーシュ神国だっけ?」
「そう、その3国よ」
「今でも同盟国なのか?」
「それはわからないよ」
「そうか。それと気になる報告ってのは?」
「うん。監視からの報告だと、魔人と人間らしき者が接触している可能性があるって言うのね」
「接触…人間か?」
「まだハッキリとは分からないみたいで、念のため一応報告って事なのよ」
「そうか…調べてみる必要がありそうだな!詳しい事が分かったらまた教えてくれ」
「分かったわ。それから直人には酷かも知れないけどちゃんと覚えといて欲しい事があるの」
「酷…?」
「この世界は治安が悪いって言ったよね。魔獣は勿論、直人はこれから人も殺さなければならない事になると思うのね」
「殺しかよ…」
「別に殺人鬼や殺人狂に慣れって言ってる訳じゃ無いのよ。盗賊や強盗とかの悪人に情けを掛けて、逆に殺られる事は良く有ることなの…人なんて勿論殺めた事がないだろうからそこが一番心配なのよ…」
「割りきれってか…」
「この世界で生まれ育ったわけじゃない直人には辛いだろうけど…」
「わかった!肝に銘じておくよ」
「うん。お願いね。それじゃあ食べ終わったら特訓に行きますよー」
「オッケー」
今後の事を一通り話したオレ達は、朝食を済ませ特訓を開始した。
魔法の特訓を開始して早一月が経ち、そこそこ火魔法を扱える様になった。
因みに特訓場所と宿屋を毎日往復させられてますよ…
「よし!魔法に使える時間はここまでね。明日からは剣術の特訓よー!」
「はあー?何で剣術なんだよ」
「アンタは本当にダメねー。魔法が効かない魔獣にどうやって対抗するきよ!」
「あっ…」
「あ、じゃないわよまったく」
「ですよね…それでホッシーナって剣術まで出来んのか?スゲーな」
「アタシが剣術なんて出来るわけ無いでしょう」
「じゃあどうすんの?あっ!冒険者組合で剣術の教室とかが有るとか?」
「違うわよ!アタシのお友達に剣術の達人が居るのよ。でっ、お願いしたら教えてくれるって言うから、明日からは剣術の特訓よー!」
「魔法もまだまだなのに次は剣術か…時間ねーからしょうがないか」
「そう、直人には時間無いのよ!頑張って!って事で今日はこれでおしまい。明日に備えてゆっくり休んで良いわよ」
「アザ~っす」
「それじゃあまた明日ねー」
『どうせなら瞬間移動で宿屋まで送ってくれればいいのに…帰りますか』
読んで頂きありがとうございます(^o^)/
次は新たな星の巫女登場か!