異世界で暮らす-1
「思った通り星が綺麗だなー」
仕事や人間関係に疲れた俺は連休を利用して、都会の喧騒から離れ田舎の山奥で一人キャンプをしている。
「あっ、流れ星だ!あの一瞬で願い事なんて言えないよな」
静かを求めてたけど、静かすぎだ…
ちょっとカサッて聞こえただけでも怖えーし
そんな事を考えていたら、流れ星チャンス!
「世界一の金持ちになれますように、スーパーサイヤ○になれますように、世界一の魔法使いになれますように、沢山彼女が出来ますように、えっと後…とりあえず凄い人間になれますようにお願いします」
とっくに流れ星は消えてたけど、とりあえず色々と願い事を言ってみた!
ハハハ…まったくいい歳して願い事の内容が…
「願い事も言えたし寝るかな」
テントに戻ると…
「うわぁーお化け、ごめんなさい。ごめんなさい。
ナンマイダ、ナンマイダ」
「ちょっとちょっとアンタ、星の巫女様をお化け扱いなんて酷いわね!」
「アーメン、アーメン」
「話し聞けって、アンタが呼んだんでしょうが!」
「お、俺が呼んだ?」
「そおよ、アンタさっき流れ星に願い事したでしょう。欲望だらけの願い事を何時までもダラダラと」
「いや、あれはですね…」
「あー言い訳はいーいー。それでアタシがアンタの願い事を叶えに来てあげたって訳よ!」
何か変なのに絡まれちゃったなぁ…
「何アンタ、うんざりみたいな顔したでしょう?」
「してませんよ」
「まぁいいわ、アンタ名前何て言うの、教えなさい!」
何でこんな上からなの…
「五味直人です」
「ふ~んゴミかぁ、それでゴミは此処で何してたの?」
「ゴミじゃなくて、五味です。五味!発音に気を付けてくださいよ。色々疲れてたんで、自然に囲まれて静かに過ごす為にキャンプに来てるんですよ」
「アタシは星の巫女!3番星担当のホッシーナちゃんだよー」
えっ…聞いといてスルーかよ。
しかもホッシーナちゃんとか、なんかブリッコになってるし、ツッコミどころ満載だけど面倒だからやめよう。
「あっ、そうですか」
「なになに、これから願いが叶うって言うのにテンション低いなー、それからアタシのことはホッシーナでいいよ。特別だよ。じゃ行こっか」
「急だな!何か説明無いんですか?」
「説明したじゃないの。直人の願いを叶えに来たって言ったでしょう。それにここじゃあ願いを叶えられないから別の場所に行くのよ」
いきなりもう名前で呼んでるし…もう気にするのはやめよう。
「別の場所に行くのはいいけどちゃんと帰って来れるんですよね?それと浦島太郎みたく、帰って来たら老人になってるとかないですよね?」
「何それ?大丈夫大丈夫、ちゃんとこの時間のこの場所に帰って来られるし、浦島太郎が何なのか知らなけど老人に何かならないわよ!今のまんま戻って来られるから安心して」
嘘は言って無さそうだな…まぁ願いも叶えて欲しいし、抵抗しても無駄そうだから着いていきますか!
「わかりました!行きます」
「ヨッシャー!openthedoor」
「はい。着いたよー」
「此処は?」
「直人の願いを叶える世界だよ」
「ここで俺の願いを叶えるんですか?」
「そだよー、それじゃ説明するから良く聞いてね!」
「説明?さっき願いを叶える為に別の場所に行くって言ってませんでしたか?ここで願いを叶えて帰るんじゃ無いんですか?」
「あーそうなんだけど…願いを叶えた後の事とか魔法の使い方とかあるじゃない!そ、その説明よ」
「成る程、わかりました」
てか、何かホッシーナ動揺してないか?気のせいか…
「じゃ、改めて説明するわよ。あっ、その前に、直人が信用して無いみたいだから魔法が使えるようにしてあげるね!ちょーっと頭触るわよー。はい。完了」
「えっ、これで魔法が使えるようになったんですか?」
「使えるわよー、説明が終わったら使い方教えるから」
『しめしめ、これで契約完了!然り気無ーく契約させるなんて、アタシってホント天才かしら、フフフ~ン』
それからホッシーナの説明が始まった。
暫く聞いていると??な説明が多々ある。
「ちょっとすいません。何か所々言葉を濁してませんか?意味が良く分からない箇所が多々あるんですけど…」
「そ、そんな事無いわよ。直人に理解力が無いだけよ」
「何か聞いてるとこの世界で魔物退治しながら暮らせって聞こえるんですが…」
「分かってるじゃない!」
「いやいや、願い事叶えて帰るって約束でしたよね?」
「そうよ。だからこの世界に来たんじゃない!魔法は使えるしー、お金持ちは冒険者になって退治した魔物売ればその内なれるしー、スーパー何とかはアタシが知らないから無理だけどー、あと何だっけ?そうそう、ハーレムね。奴隷買えばハーレムも出来るしー、この世界からしたら直人は凄い人間だしー、殆ど願い叶っちゃったね。フフフ」
「殆ど自力ですよね…それって願いが叶ったって言わないですよ。それにハーレムなんて言ってませんが!暮らすって事は帰るって約束も守られてませんよ」
「彼女沢山欲しいとか、結局ハーレムよね?それに全て終わったら帰れるから約束違反じゃありませーん」
「詐欺だ!もう願い事は良いので帰して下さい!」
『詐欺には気を付けてたのに、寄りによってこんなバカそうなのに詐欺られるとか…』
「もう契約しちゃったから帰れないよ」
「はぁ?契約なんてした覚え無いですよ!いつ俺が契約書にサインしたって言うんですか!」
「あらら、直人とアタシじゃ住む世界が違うから契約の仕方も違うのよねー。さっきアタシから能力受け取ったわよね?」
「まさか、魔法使えるようにするとか言って契約させたのか?」
「アッタリー!でも使えるようにじゃなくて、ちゃんと使えるようにしてありますよ。契約だから。それと直人は快ーく自分の意思で受け取ったわよね。フフフ」
『騙された。嵌められた』
「お前何か巫女どころか悪魔だよ!」
「酷い~。あっ、それと元居た世界ではちゃんと直人は存在して、今まで通り普通に生活してるから安心してね」
『何の安心だよ。チクショー!』
こうして俺は異世界で暮らす事になりました。
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