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はじめましての方もそうでない方も、のぞいて頂きありがとうございます。
ちょっとアホなタイトルですけど、頑張って書くのでよろしくお願いします。
更新のペースは亀のようなスピードだと思ってください。
(必ず月1では更新します)
拙い文章ではありますが、お付き合い頂けますと幸いです。
「一ノ瀬 瑠衣さん」
私の目の前には黒髪のイケメンがいる。
私のよく知っている人。
でも、まだ直接話した事がない人。
「貴方のことが」
その先の言葉も知っている。
…でも、その言葉は、
「貴方のことが好きなんです。私と付き合ってくれませんか?」
ーー自分に向けて言われても、全然嬉しくない。
・*・*・*・*・*・*・
日本の学園モノの乙女ゲーム
1人の少女に5人の少年が恋する物語。
ヒロインである少女は、プレイヤー。
つまり自分。
自分で5人の中から1人を選んで攻略していく、至ってフツーの乙女ゲーム。
フツーは自分と美少年達との疑似恋愛を楽しむゲーム。
……フツーは、ね。
ただ、このゲームの制作会社…公式が病気だった。
きっと、このゲームの製作者の誰かが腐ってたのだろう。
このゲームには2つのモードがある。
【ノーマルモード】
男女の恋愛を楽しむ普通のよくある乙女ゲーム。
【ローズモード】
名の通り、薔薇モード。つまり、BLモード。
途中まではノーマルモードなのだが、ローズモードでは、ヒロインが少年の交際の申し込みを断るのだ。(乙女ゲームが成立しない)
振られて、落ち込んでいる少年A(少年だけだと分かりづらい為)の所へ、少年Aと関わりのある少年Bがやってきて、慰めてくれる。それはもう、甘々に。
そして少年Bは少年Aに告白するのだ。
「ずっと好きだった。お前を振った女なんか忘れて、俺と一緒になってくれないか」…と。
そして結ばれる少年Aと少年B。
そんな姿を空気になって見守るヒロイン。
あれ?ヒロイン必要なくね?って思った人が居ると思う。でも、ヒロインは必要なのだ。
ヒロインに振られて落ち込んでいる少年Aを見て少年Bは告白するからだ。
要は当て馬である。
ヒロインがいたから少年Bは告白したのだ。
いい声で絡み合う2人。
…最高だね。
…おっと話がズレた…。
つまり、ローズモードのあるこのゲームは、
"腐女子ホイホイ"な乙女ゲームである。
(もう、乙女ゲームとは呼べない)
もちろん大多数の乙女達は、ノーマルモードでイケメン達と愛を育むのだ。
ただ、1部だけ、ローズモードを好んで遊ぶ乙女がいる。
ただ、厄介なのが、ノーマルモードをクリアしてからでないと、ローズモードで遊べない。
世の腐女子達は鳥肌を立てながらゲームを進め、その先にある栄光(フルボイスのBLゲーム)を掴むのだ。
かくなる私も、その1部の1人。
つまり、腐女子という訳だ。
そんな私が今、何故だか知らないがその乙女ゲームの世界にいる。
なんでわかるのかって?
見覚えのある部屋だったからだよ。
この天井あのゲームでよく見たもん。
あれ?私死んだのか?って思ったけどわからないからきっと、転生だか転移だかしたのだろうと思うことにした。
考えてもわからないモノに頭を使いたくない。
なんでそんなに飲み込みが早いのかって?
だって、あの、乙女ゲームの世界だよ?目の前でイケメン達の絡みが見れるんだよ?最高かよ。
そう思ったらうだうだ考えてる時間が勿体無い。
でも、私はここで気づくべきだったのだ。
何故、見覚えのある部屋なのか。
何故、あのゲームでよく見る天井なのかを。
さ、支度しようと思い鏡の前に立った私は心臓が止まるんじゃないかと思うくらいびっくりした。
「え、」
そしたらきっと、この時の驚きを半減できたから。
「なんで、」
私は鏡に映る自分をあり得ないと思いながら見つめる。
そこにいたのは、
綺麗な栗色のセミロングの髪。
同じ色の大きな瞳。
透き通る白い肌。
そして小さな顔の美少女がいた。
「え、、」
このゲームのヒロインである、【一ノ瀬 瑠衣】(いちのせ るい) のキャラデザそっくりそのままの姿だった。
「う、」
え、何?
私が美少年達と恋愛するの?
そんな展開求めてないんだけど。
私は彼等を見守る壁でいいのに。
「うそだろぉぉぉぉおお?!」
どうか、【ローズモード】である事を願ってます。
・*・*・*・*・*・
それから一週間後。
入学式を終えて3日。
冒頭の告白に繋がるのである。