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友達神は食料です  作者: 星野夜
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第1話『パンドラの箱』

 初めまして、作者の星野夜です。

 この作品はとりあえず作った…ものだったんですが…ちょっと入り込んでしまいまして…まぁ、面白くはします。お付き合いくださいますよう、お願いいたします。

 投稿スピードは変則的、むしろ遅いw。でも、じっくりと作っていきますので。

 どんな話かは本編をチェック!

 太陽光が直下に降り注ぐ。空は快晴、風が吹き乱れる。今日は風が強くて心地いい。

 ぐぅ~。

 腹が鳴った。

「・・・・・・。」

 一人の少年が小路地を歩いていた。碧い瞳と薄茶色の髪の毛に黒色の帽子を被り、青黒いTシャツと黒いズボンを着ていて、足首まで届くほど長い深緑のコートを羽織っていた。その少年の名前はアイオロス。アイオロスは不器用で引っ込み思案。故に友達が一人もいない、ボッチであった。

 アイオロスは小路地を抜け、一つの公園にやって来た。誰もいない公園。アイオロスは誰もいないブランコに座り込んだ。ブランコは少しだけ揺れてキーキーと音がなった。

 そしてしばらくボーッとしていると、遠くのベンチに何かがある事に気付き、アイオロスはブランコから立ち上がって確認しに行った。それは木箱だった。周りが損傷していて木が変色している。相当、古いものだと見える。

「木箱…不自然。こんな所に木箱が…。」

 アイオロスは少し警戒しながらも、木箱に手をかけた。そして持ち上げる。木箱は何も入ってないかの様に軽かった。いや、入ってないのだろう。そんな木箱をアイオロスは見つめた。底の部分に紙が貼ってある。それを剥がして見る。

『開けてはいけないパンドラの箱。』

と書いてある。

 人間は、してはいけないとか、禁止などと言う言葉に逆らいたくなる感情を持ってる。好奇心と言うものからだろう。しかし、時に好奇心は恐ろしい事を引き起こしてしまう。

 アイオロスはその好奇心に負け、木箱を開けてしまった。その直後、突風がアイオロスを襲い、アイオロスは反動で後ろに倒れた。木箱が地面に落ちる。突風はそのまま吹き抜けていった。

「な…何?」

 彼は木箱の中を確認する。中には一つの工具らしき物が入っていた。それは誰でも見た事のある工具、メジャーだ。それを手に取り、確認する。

「…測定距離…1キロ?この小さなメジャーで?馬鹿げてる。」

「馬鹿げてるとは何だ、馬鹿げてるとは!」

どこからか女性の声が響いた。彼はそれに驚き、辺りを見回す。しかし、誰の人影も見当たらない。

「どこだ?どこに隠れてる?」

「こーこっ!あなたが持ってるでしょ?!」

 アイオロスは表情が固まった。そのまま、目線を下に向ける。持っているメジャーに目が入った。そのメジャーが動いている!

「うわぁ!」

 彼は恐怖でメジャーを投げ捨てた。メジャーが地面に落ち、音を立てた。

「いてっ!乱暴に扱うなよー!」

メジャーがそう言った!おかしい事だが、確かにメジャーからだ。

 彼は慎重に、まるで軍隊かのように低姿勢でメジャーに近づいた。

「メジャー…君、言葉が話せるのかい?」

 メジャーが大声で言った。

「酷い事言うな!私はメジャーなんかじゃないし、しっかりと名前があるの!私はレアー!あなたは?」

 メジャーなのに名前があるなんて変なの。

 問題はそこではない。メジャーが言葉を話し、自我を持ってること自体、おかしいのだ。

 彼はオドオド答える。

「あ…そ、その僕はアイオロス。」

「アイオロス!」

レアーは物凄く驚いて叫んだ。

「な、何?何か変?」

「じゃなくて!アイオロスって、風の王じゃない!何でこんな所にいるのよ!」

「僕は王様なんかじゃない。ただの人間だよ。」

「う~ん…もしかして、忘れてる?…アイオロス、私を上に軽く投げて。」

「いいけど…。」

 アイオロスはメジャーを軽く上に投げた。直後、メジャーが爆発し、爆煙を巻き上げた!彼は驚き、尻餅を付く。爆煙は急に地面一点に集まり始め、そして人型に変化し、人になった!

「ふぅ~…変身完了!ね、メジャーじゃないって言ったでしょ?」

 そこにいたのは一人の小柄な少女だった。茶色の長髪に、茶色の瞳。全身、茶色の布でできた民族服のようなものを着ている。

「これが真の姿。もう一度、自己紹介するね。私、レアー。大地の女神って人から呼ばれてる。」

「大地の女神?じゃあ、もしかして君が神だと?」

 頷くレアー。

「んな事、ある訳ない。馬鹿げてる。」

 レアーは信じていないアイオロスを見て、頬を膨れさせて怒っていた。

「良いもん!どーせ、人間は信じれないし!私、本当に神なんだもん!」

「証拠あるの?」

「あるもん!見ててよ!」

 レアーは天に向け、手を振りながら、

「クレイオス、ちょっと来てよ。」

そう言った。

 その時、急に天から何かが瞬間的に落ちて来た!地面に激突して砂埃を巻き上げる。

「ゴホッゴホッ!…レ、レアー…何を…?」

 砂埃の中、レアーは答えた。

「お兄ちゃん呼んだの。」

「お兄ちゃん?」

 砂埃がだんだん薄くなる。そして目の前に一人の人間が立ってるのが見えた。

「だ、誰だ?」

 砂埃の中、その人物は答える。

「俺はクレイオス。レアーの兄だ。」

 ようやく、その姿が理解できた。黒い短髪に黒の瞳。身長は中背。蒼色の服とズボン、それとオレンジ色のマフラーらしきものを首に巻きつけていた。

 クレイオスはアイオロスに近づき、そしてマジマジと見つめた。アイオロスは少々恥ずかしそうに丸まる。

「レアー…こいつは人間じゃないか。」

「そうだよ。」

「俺らは元々、人間とは関わってはならない。そう聞かされていただろ?」

 レアーは縮こまる。

「そーだけどー…。」

 アイオロスはそのやり取りの光景を目を丸くして見ていた。もう、完全なる証拠になってしまった。レアーが…いや、彼らが神だと言う証拠が。

「あの…人間ごときが神様に尋ねるのもアレなんですが…レアーはなぜ、この地上に降りて来たの?」

アイオロスはそう訊いた。

「あ、えっとねー…確か、眠っていたら、急に空間に亀裂が入って…それでここに…。」

「つまり、自分の意志じゃないんだ。…これは運命なのかも…。」

 クレイオスがアイオロスに訊く。

「所で、お前は何者だ?」

少し警戒状態のクレイオス。

「…僕はアイオロス。レアーは僕が風の王とか言ってましたけど…そんな訳ないよね。」

 クレイオスはレアーと同じく、驚いていた。

「お前が…アイオロス…。人間に生まれ変わると、こんなにもチッポケになるのか。」

「え?やっぱりそうなの?僕は風の王?」

 頷く二人。

「…あまり実感ないな~。今まで人間として生きてきたから…突然言われても…。」

「仕方ない…取り敢えず、分かる事が一つ。俺達神は人間と関わってはいけない。原因を作ったのはアイオロス、お前自身だ。」

クレイオスはアイオロスを指差して言った。アイオロスは首を傾げる。

「イマイチ分かっていない様だな。お前は『パンドラの箱』を開けてしまった。それが原因だ。」

 クレイオスは別方向を指差す。そこには先程の古めかしい木箱が。

 アイオロスは頭を抱えた。

「はぁ~あ…つまり、僕のせいなんだね。この状況下になったのは…。」

 頷く二人。

「まぁ…お前はアイオロス、風の王。一応、神に分類される身。人間に会った訳じゃないから、一応はルールを守っているはず。」

「そうだよね!アイオロス、これから重大な事をしなければならない。どう、一緒に?」

 アイオロスは少し悩む。これを引き起こした原因は自分にある。しかし、神の仕事などに人間が関わって良いものなのか?

「…うーん…僕が、本当に神だとしたなら…これは僕の仕事だ。やるしかない。」

「変な理由だね。まぁ、良いか。お兄ちゃん、アイオロスに教えてあげて、仕事内容をさ。」

 レアーはクレイオスに向けてキラリとした瞳を投げかけた。クレイオスはレアーの頭を軽く叩いた。すると、レアーの身体が宙に浮遊した!

「レアー、それは良いとして…お前は神界に戻れ。俺とアイオロスで仕事は成せる。」

 レアーは宙でもがいていた。身動きが取れないらしい。

「もぉ~!いつも、そうやって私を除外するんだから~!」

「良いから帰れよ。」

 直後、レアーの身体がその場から消えた。


「良いか、アイオロス?お前が開いたパンドラの箱。あれが原因で、俺達神のいる神界から何柱かの神が地上へと放り出されてしまった。彼らは皆、この世界に存在する何かとなってしまった。レアーと最初に会った時、レアーはどんな見た目だった?」

「…メジャー…1キロメートルメジャーだった。馬鹿げてる。」

 クレイオスは深刻な表情となる。何か考え事をしてる様であった。

「…そうか…一応は理解できる。…レアーは『大地の女神』だ。メジャーに変換したのは大地が関係してる。つまり、それぞれの神の特徴が具現化してる。それを見つける必要があるな。できるか?」

 アイオロスはキリッとした目付きでクレイオスを見つめ、軽く頷いた。

「そうか。…じゃあ一先ず、お前が捕縛すべき神を教える。」

「捕縛すべき?」

「アイオロスは昔、風の四神を閉じ込めた。北風ボレアース、南風ノトス、西風ゼピュロス、東風エウロス。危険な風の神を閉じ込めなければならない、とウィキペディアで調べた。」

 その手にはスマートフォンが。

「…あれ?それって…。もう人間に馴染んでる…。」

 クレイオスはスマートフォンを見せた。

「できるだけ、人間味を持たせた方が気づかれないだろ?だから、用意した。」

「何でも用意できんの?」

「もちろん。…アイオロスは元神だったが…今となってはほとんど単なる人間。」

「酷い言い方するなー。」

「俺とお前は意思疎通、いわゆるテレパシーができる。同じ神同士だからな。二人で連携し、地上に落ちた神たちを元に戻す。ここからは別行動だ。発見次第、テレパシーで俺に教えてくれ。以上、解散。」

 そう告げたクレイオスは逃げるようにその場から消えた。どこかへ行ったのだろう。アイオロスは公園に一人。先ほど、開けてしまったパンドラの箱に目が入った。まだその箱はある。アイオロスはそれを手に取り、そのまま公園を出て行った。行く宛もあるわけなく、とりあえずは家へと帰ることにした。何事もなかったかのように。

「あれが…風の王。聞いていたのとは似ても似つかないんだけどー。」

「まぁな。所詮は人間だ。四神が開放された時点で、あの男に勝ち目はない。様子見に来たが、無駄足だったらしいな。行くぞ、ニュクス。」

「あいよ!」

 公園のとある一角でそんな会話をしていた二人の人物はその場から消え去った。その直後に日が暮れた。日が暮れる時間にしてはまだ早すぎる。アイオロスはそんなことに気づかず、そのまま帰っていった。


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