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六話

 家に着くてさっそく藤井の分も含めた夕飯を作り始めた。 汁ものは休日に作ったけんちん汁があるからそれを出すとして、主菜を何にするかだな?


「何か食べたいものあるか?」


 テレビを見ている将と藤井にリクエストを聞いてみたが、声をそろえて「なんでもー」とテキトーな返事が返ってきた。

 俺も子供のころはお母さんによくその言葉を使ってきたが、今になってその言葉がどんなに難しい注文か痛いほど分かる。

 仕方ないな……。 一旦自室に戻って、上下に画面があるゲーム機を起動させながら台所に戻った。 

 ボーカロイドのように抑揚のない音声でゲームタイトルを読み上げ、上画面に小太りであるが優しそうなシェフの顔が映し出される。

 なにを作るか困った時に使う俺の大切なパートナー。 高見先生監修のお料理ナビのゲーム。 大学時代に初めて一人暮らしをするときに買ったものだ。

 さて、何をつくるかなー? できるだけ時間のかからないやつがいいな。

 下画面をタッチで操作していく。 ゲームには全二百のメニューが載っており、肉、魚介、野菜などの種類にわかれていて、今日はそのうちの肉からメニューを選ぶことにした。

 人数もいることだし腹にたまって多めのやつがいいだろうということで、今夜はチンジャオロースを作ることにした。

 『つくる』ボタンをタッチして高見先生のナビの下、チンジャオロース作りがはじまった。

 高見先生と会話するように作ること約十五分でチンジャオロース(にんにく、ねぎなし)ができた。

 あいにくうちの冷蔵庫にこの二つの食材はなかったので、人参を代わりに入れました。

 それから、申し訳程度のキャベツのみじん切りを人数分用意して夕飯の準備は終わった。


「おーい、できたぞー! 運ぶの手伝えー」


 藤井はご飯とけんちん汁をよそい、ショウは箸をテーブルに並べてコップにお茶を注ぐ。

 ポットを傾けると身体も同じ角度に傾け、溢さないように丁寧に注ぐ様子はまさしく子供らしく愛らしかった。 将が溢さずにお茶を注ぐのを見届けてから、できたての料理をテーブルに並べた。

 俺の隣に将を座らせて、向かいに藤井が座る。 そして手を合わせて「いただきます!」をした。

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