四十話
「そんなにみられると、かきにくい」
「ん、そうか。 スマン」
将の絵を見てたら、ついゴールデンウィークのことを思い出してしまった。 最初は行くのめんどくさかったけど、いざ行くと楽しかった。 お母さんや太田さん、それに他の懐かしい面々にも会えたし、部屋でゴロゴロしてなくてよかったと思える。
それにおみやげというとちょっと違うけど、お父さんの御朱印帳ももらってきた。 帰り際に『店もあってどこにも連れてけないから』とお母さんが将に渡した。
将が生まれる前に亡くなってしまったから縁も何もないけど、それでも将は怪訝そうな顔も見せずに笑顔で受け取った。 今では幼稚園のかばんに入れて、毎日お父さんと一緒に幼稚園に行っている。
「できたぁ」
クレヨンを置いて、ぐにゃりと脱力するも満足そうな顔をしている。
将の描いた絵は一枚の大きな紙に三つの絵が描いてあった。 太田さんと話している絵と、千本鳥居を潜っている俺と将、そして御朱印をもらってる絵。
一枚の紙をうまく使って俺よりもセンスがあるように思える。 俺だったら三枚の紙を使って描いてただろう。
「それで話す内容は決めてるのか?」
「んー、あとで。 それより、おなかへった」
「冷蔵庫にプリンがあるぞ!」
「うえーい!」と喜びの声をあげて、椅子を使い冷蔵庫を開けた。
上のほうの棚にあるプリンを身体を伸ばして取ると、顔をこちらに向けた。
「セイさんもいるか?」
「俺は夕飯のデザートにとっておく」
「そのときは、ショウにもわけてくれ!」
「イーヤーだ!」
「ケチー!」と怒りながら椅子から飛び降り、椅子を元に戻してプリンを一口食べた。 すぐに顔を緩ませて幸せそうな顔になった。
黙々と半分ぐらいまで食べ終えると、残りをグルグルかき混ぜ始め薄黄色の生地がカラメル色に染まり、ぐちゃぐちゃになってしまった。
ひとしきり混ぜ終わると、またプリンを食べ始める。
「それ、よくやるよなぁ」
「あのちゃいろがニガイから。 こうすれば、さいごまでおいしくたべれる」
子供の味覚ではちょっと苦手なのかな……?
自分の子供のころを思い返してみても、プリンを混ぜることはなかったと思うけどなぁ……。
家でやるにはいいけど、よそではやってほしくない。 ちゃんと教育していかないと天国にいる舞に怒られそう。




