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三十三話

 なんとかみおちゃんの機嫌をとろうと変な顔をつくったり、レゴブロックで車をつくったりとしたけどツーンとした態度で良い反応はしてくれない。

 こういう時どうすればいいのか分からないどころか、ここにいたくない気持ちにすらなってくる。 どんなに気を使ってもいい反応を示してくれないから、もうどうにでもなれ、といい加減な気持ちになってくる。

 それが一番の友達であってもそう思ってしまう。 そのせいもあって、いい加減な気持ちがどんどん募っていく。

 それをため息にして体外に出していくたびに、まわりの空気と混ざりどんよりした重い空気になっていくのを感じる。

 もうどうしようもない、と諦めてぐてーんとだらけていると教室の外から「こっちにこい」と小声でダイスケくんが呼んでいた。

 みおちゃんに一言声をかけてからダイスケくんのところに行くと、ダイスケくんはショウに顔を近づけてヒソヒソと「あそこに、みおをつれだせ」と園内にある大きな桜の木を指差した。

 親指を立てて「OK!」と示すと、こくりと頷いてどこかに行ってしまった。

 ついOKしちゃったけど、どうやって連れ出そう……。




「みなさん、さようならー!」

「さーよーおーなーらー!」


 センセイの後に続いて園児たちが言い、今日の幼稚園は終わった。 もうお迎えが来ている子たちは、そのままお母さんのもとに駆けて帰っていった。 まだお迎えが来てない子は、幼稚園内で遊んで時間を潰す。

 ショウは当然のこととして、みおちゃんの迎えもけっこう遅い。 だからこの後もよく遊ぶけど、今日はずっと機嫌が悪いままでショウと遊ばずに一人で遊んでいる。

 ダイスケくんに連れ出すように言われたから、なんとかして連れ出さないといけない。

 うぅんと頭を捻って良い案を考えるけどちっとも出てこないし、こうしている間にダイスケくんが待っていると思うと余計に出てない。 終いには、なんであの二人のためにショウが苦労しないといけないのか、と苛立ちを覚える始末。

 ——あぁ、もう!!

 つまらなさそうに遊んでいるみおちゃんの手を引っ掴んで、無理やり外に出した。


「ちょっとなに!?」

「いいからちょっときて!」


 少し強く言われたけど、それよりも強く言ってみおちゃんを桜の木の下に連れてきた。 そこにもダイスケくんがもういた。


「ダイスケくんのはなしも、きいてあげて!」


 みおちゃんに言い聞かせるように目を見て言うと、「……わかった」と拗ねたように言った。

 それからダイスケくんに「もうてつだわない」と耳打ちして教室に戻った。

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