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二十四話

 土曜日、将がみおちゃんとウチで遊ぶ約束をした。 野々原さんもウチが分からないので幼稚園まで来てもらい、そこから案内しようということになった。

 俺もみおちゃんに会うのは初めてで、どんな子なのか気になる。 今日まで将からいろいろ聞かされて、大人しくていい子だという印象がある。

 ただ聞いたのは性格面がほとんどで、外見のことは聞いてない。

 いったいどんな子なんだろ? 本当に会うのが楽しみだ。

 幼稚園の前で待つこと数分、一台の車が幼稚園の前で止まった。 中から小さな女の子とそのお母さんが出てきた。


「ショウくん!」

「みおちゃん!」


 二人は手を取り合ってその場でぴょんぴょん跳ねて、まるで久しぶりにあった恋人みたいに喜んでいた。

 これがみおちゃんか……。 なるほど性格をそのまま外見に反映させたみたいに、綺麗な見た目をしている。 いかにも女の子といった感じがする。


「あの……中村さん?」

「えっ? あっはい! すみません……」


 みおちゃんに気を取られるばかりで、親御さんに挨拶がまだだった。


「初めまして、野々原といいます。 今日は娘のこと、よろしくお願いします」

「こちらこそ、中村です。 娘さんのことはお任せ下さい」


 その後、お迎えの時間を合わせて、みおちゃんのお母さんは帰っていった。

 さて、ウチで遊ぶといっても狭いしさわぐと隣の人に迷惑をかけるから、自然と外で遊ぶことになってしまう。 将もみおちゃんもそのことには理解してくれたようで、幼稚園の後ろにある公園で遊ぶことになった。

 小さな山のふもとに作られた公園で、俺もここでよく遊んだ記憶がある。


「さて、みおちゃんは何して遊びたい? 遊具は木が腐ってて危ないから遊んじゃダメだぞ」

「……おにいさんも、いっしょにあそんでくれるの?」


 いい子すぎる……。 もう三十になりかけのおじさんを「お兄さん」と呼んでくれるなんて、可愛いなもう! お兄さん、メロメロになっちゃう。


「お兄さんも一緒に遊ぶぞ!」

「おにいさんって、としじゃないだろ」と首を振って将。

「何を言う! まだまだ若いもんには負けん自信がある!」


 ムキーと腕を曲げて筋肉を膨れさせるも、服の上からでは膨らんでいるのかまったく分からない。 


「そのセリフで、もうおじさんだろ」


 墓穴を掘った。

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