十九話
「将くん、借りてきたよ!」
夕ご飯も食べ終わり、『ショウのふくをどうしよう』という話になった。 センセイの部屋にショウのサイズに合う服はあるはずもなく、だからと言ってこのまま制服で過ごすにはちょっと……。 できることなら着替えたい、ということを話したらセンセイは「大丈夫!」と言って外に出て行った。
そして服一式を持って戻ってきた。
「もしかして、かってきたのか……?」
「借りたって言ったでしょ。 えっと、実はお隣さんの息子さんがね、今年小学校にあがったの。 だから将くんに合う服もあると思って聞いてみたら、この通り」と自慢げに服を掲げた。
お隣とも付き合いがあるセンセイの社交性に感謝して、さっそく着替えるも少し長くて手が袖で隠れてしまった。
「これ、ショウがかえしても、もんだいないか?」
「先生が返しとくからいいよ」
「よごしてしまったのは、ショウだ。 ショウがあらってかえす」
「うっえや、でも……中村さんが……」
「セイさんも、そうするとおもう」
なんとなくだが、センセイは物事を渋ることが多い気がする。 そのくせ相手も渋ると、次第に折れていく癖がある。
結局はここの地図を書いてもらって、ショウが返すことになった。
それから寝る場所も一悶着あった。 ショウは「ゆかでいい!」と言ってるのに、センセイは「ベット使って!」と言い渋る。
一悶着の結果、ショウは床で毛布にくるまり寝て、センセイは渋々ベットで寝た。
翌日、センセイの寝癖が凄まじいことになっていたのが印象的だった。




