武器起動《ウェポンスタート》
「このままじゃ皆殺されちゃうわ……」「先生でも敵わないんだ…到底俺たちじゃどうしようも出来ない」
クラスメイトは口々に絶望の言葉を漏らし始めた、きっと他のクラスでも同じだろう「俺行ってくる!!」
声を上げたのはリュートだった
「止めてリュート……先生でも敵わなかったんだよ!死んじゃうよ…」
カルミンが今にも泣きそうな声で止めた
けれどリュートはいつもの調子で答えた
「大丈夫!ちゃっちゃっと片付けて帰ってくるさ!!」
強がって言うリュートの足は恐怖に震えていた、しかしここで誰も何もしなければ皆殺されてしまう……少しでも時間稼ぎになれば
「じゃあ行ってくる!!」と言ってリュートは教室を出て外に向かった
「キキキッ??キッキキキ!」
「む?子供が出てきたが?」
「ああっ?んだよ死にてぇのか小僧?」
合成獣が様々な声で威嚇してきた
「うっ……うるせー!お前らなんて怖くねーんだよ!」
リュートがそう言うと死蝙蝠は微笑した
「ほう……面白い事を言う子供だ……名は何と言う?」
「せ……セイル・リュートだ!」
リュートが名前を名乗ると合成獣は大笑いした
「ぎゃはは!お前が暗黒皇帝様が目を付けてる奴か!面白い小僧だ!ちょっくら俺が相手してやるよ」
そう言うと合成獣の尻尾の蛇をリュートの方に向けた
「毒射出!」
尻尾の蛇から毒の塊がリュートの顔めがけて飛んできた
「うわっ!!!」
リュートは辛うじて避け戦闘態勢に入った
「武器起動!」
手にシルバーソードを握ったリュートはなぜか合成獣への恐怖心が無くなった
「うおおおおおおおっ!!」
リュートは合成獣との距離を詰めていく
「おお!毒を避けたか!けど簡単に俺に近づかせないぜ!炎大球!」
巨大な火球が合成獣の口から発射されリュートに飛来する
「丸焦げになれ!」
合成獣が笑った
火球がリュートに当る瞬間に笛の音が鳴り響き、火球がリュートを焦がす事は無かった
「なっ……なんだ!?」
合成獣が困惑していると
「リュート!!」
声がする方を見るとカルミンが笛を持って立っていた
「カルミン!!」
待ち望んでいたような声でリュートは叫んだ
「私にはこれくらいしか出来ないけど少しでも力になれるなら私頑張るよ!!」
「ありがとうカルミン!!(こんな奴らに殺されてたまるか……!)」
リュートがそう思うとシルバーソードからまばゆい光が溢れた!
「今度はなんだよ!?」
合成獣が叫ぶと
「お前になんて絶対やられない!ここでお前を倒す」
「おもしれぇ!本気を出させてもらうぜ!狂乱化!」
合成獣がそう叫ぶと鶏の顔が鷲に変わり尻尾の蛇は三匹になり身体の大きさは二倍に膨れ上がった、しかしリュートは怯む事なく走り合成獣の背後に回り込んだ
「は…はぇ!!」
合成獣が気がついた時には既に尻尾の蛇が切り落とされていた
「ぐっ…お前みたいな小僧にやられてたまるかぁぁぁぁぁ!」
「くらえっ!滅却魔壊!」
渾身の力を込めた鉄拳を軽々かわしリュートは合成獣を頭部から両断した
合成獣の真っ二つになった骸を見て死蝙蝠は笑った
「やはり暗黒皇帝様の考えは正しかったか……リュートと言ったな?またどこかで会おう」
そう言うと死蝙蝠は小さな蝙蝠となって四方飛んでいった
「キキャキャキャア!!」
死甲虫も満足そうに笑いどこかに飛んでいった
二匹が去るとリュートはその場に倒れた…………