0:脱ニート
もちフィクション
この春、充実した気持ちで新たな学び舎へ行く大学生。
まぁ俺の事なんだが、実はこの間まで高校生・・・では無くニートってやつだった。
そんな夢の様な暮らしをしていた俺に悪魔が、いやっ生物学的に何者か見当もつかない奴が突然殴りこんで来たのだ。
そして半ば強引に引き篭もって毎日駄菓子をむさぼりながらオンラインゲームをする夢の様な生活を壊しやがった。
良い迷惑だ。
「だってあのまま生活してたらクロはピザになってショックで自殺するやん〜」
この激しく腹が立つイントネーションは関西弁だ。そして悪魔の正体でもある。このアマ埋めちゃおうか。大体俺はクロじゃない。九郎だッ!不釣合いとか言うな!
「ピザは無い。確かにそうなれば自殺するだろうが、俺は毎日運動をしている。」
迷惑というのは冗談で、俺もあの生活から抜け出したかったのだ。感謝・・・したくねえ。
「運動ってあの部屋のどこにそんなスペースがあるん?あ、毎晩やってるアレのこと・・・」
なんだと。
「ちょっと黙れ。何の事だよ・・・。俺の部屋じゃない。トレーニングルームがあるだろ。」
「親の遺産万歳やね。」不謹慎すぎる!!
高校に入学してすぐ、両親は事故で死んだ。家族での旅行中の事だった。よく覚えている。
俺もいたからな。
今から3年前の航空機墜落事故を覚えているだろうか、
覚えてなくともこの話はフィクションだから問題は無いぞ。
「話の乗っけからつまらんくなるコト言うなや〜!」うるせえ。
とにかく、その事故の犠牲者であり、唯一の生存者が俺なんだ。
乗客の99%が死亡。まさに1%の奇跡。全然嬉しくなかったけどな。
で、親の莫大な遺産を相続した俺は悠々と独りでニート生活を始めたわけだ。
「誰もが羨む生活やんね〜悠々自適な毎日♪」
「何がだ。全ッ然楽しくねえよ!」本当もうその時は正直折れそうだった。
「やからうちが来てあげたやん〜」呼んでないぞ。マジで。
しかし、入学式にスーツを着るというのも新鮮というかなんというかだなぁ。
「二流だか三流だかわからん大学に通う恥辱を新鮮というんか。初めて知ったわ!」
とりあえず、このうるさい奴が何者なのか桜が散るより早く紹介してみたい。
そうだな。こうして脱ニートをして感慨に浸る気持ちもあるし、出会いから回想してみよう。
次は出会い編。