"生殺与奪の遊園地"
「お願いします、殺さないで下さい」と捕虜の少年が熱意を持って懇願するので
僕は銃を構えると、正確に狙いを付けた三点射で彼の膝を撃ち抜いた
外の陽射しを隠さない軍営の機械天幕の下、遅回しの映像の様に、明るさの中で血液が飛び散っていく
言われた通り、彼を殺さなかった
しかし彼の右脚の筋と骨は、もう治る事はないと思う
何しろ、僕はそれを手当てしないつもりだったから
これだけの状況になってもなお、少年は、飽くまで命乞いを続ける姿勢を崩さなかった
仲間に聞く所に拠れば、この方法で既に三回は命だけは許されているかららしい
こちらから願えば、彼はどんな要求でも飲むらしい
そのせいか捕らえた兵たちも、段々と殺害するつもりを失うのだと云う
だが、今回に限ってはそれは通用しない作戦だった
何故なら当部隊は、僕と隊長以外の全員が機械兵で編成された実験部隊であり、しかも隊長は僕の躰にしか興味が無かった
隊長が「好きにせよ」と、僕の唇から自分のそれを離しながら告げた時、捕虜である彼の命運もまた決して居たのだ
また、僕自身が罪に問われる可能性は極めて低い
本国に帰還後も、僕の年齢の場合は現行の法律だと一般的刑法より少年法が優先されるため、刑事罰を受けないのだ
せっかくエンジニアとして軍に招集されたのだ
飛び級で入った大学の単位だって貰える
残酷な事は、この夏休みの内に全部やっておきたかった
少年は膝を不可逆的に破壊されてもなお、へたり込んだ姿勢で卑屈な笑いを浮かべ、上眼遣いに僕に視線を向けて居た
確かに、こうした戦場では考えられない程に彼の皮膚は透き通っていて、木目が細かかった
触れると、薄さと柔らかさが同居した触感が手に返ってくる
髪を指で梳くと、何を勘違いしたのか彼は艶のある声で鳴いて、僕の脚に顔を擦り付けて媚びてみせた
その顔を蹴飛ばすと、少年は、信じられない、とでも云う様に瞳を開いた表情で、僕を視ながら人形みたいに床に倒れた
機械兵用の装備として軍営の床鞘に設置されたブレードを彼の横に投げ捨てると、僕自身もブレードを抜き放ち、切っ先を彼に向けた
「こういう命乞いは初めてか?」
「勝てたら」
「自由にしてやるよ」
少年が立てもしないまま、怯えて涙を流しながら構えたブレードを切り払い、もう一度顔を蹴飛ばす
偶然良い場所に当たったらしく、折れた歯が何本か床に転げて音を立てた
「構えろ」
「それとも、もう死にたかったか?」
人殺しって面白いなぁ、と、僕は思った
隊長が帰ったら気絶するまで抱いて貰おう
予定通りなら1時間後だ
それまでは、この子供を生かしておく必要があった




