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第十五話 「壊れる音」
逃走中、リィアは立ち止まった。
「……私、怖い」
アルトは即座に振り返る。
「今さらか」
「違う」
彼女は、震えながら言った。
「怖いのは、
あんたが居なくなること」
その言葉は、重かった。
「復讐が終わったら、
あんたは……私を殺す?」
アルトは答えなかった。
沈黙が、答えだった。
リィアは、苦笑した。
「やっぱりね」
それでも、彼女は前に出る。
「でも、それでいい。
私は、あんたの“道具”でいい」
アルトは、強く言った。
「道具じゃない」
「じゃあ何?」
問いに、即答はなかった。
やがて、アルトは言う。
「……鎖だ」
リィアは、泣きながら笑った。
「最悪」
「最高だろ」
二人は、再び走り出す。
王都の闇へ。
戻れない場所へ。
復讐は始まったばかりだ。
そして、もう
二人とも引き返せない。




