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55話

 何故か俺はいつの間にか友人の嫁と一緒にお買い物をすることになった。その友人は今彼の妹と二人でお買い物をしている、と思う。俺の考えが正しければ妹に襲われてたりしてるかもしれない。彼の妹はいわゆるブラコンというやつで正直そんな妹が羨ましい、俺にも妹はいるが顔を合わせると少々棘の含まれた会話をしがちだ、まるでそれはドッヂボールのようなものだ。ちなみにその妹は今俺とは違う高校に通い、アパート暮らしをしているんだとか……噂に聞けばなんかもう一人同居人がいるらしいが、もしかして男か、いやいやあいつに限って男と二人屋根の下だなんてありえねーよ、俺としてはそうでないことを祈る。



咲月は、今日の夕飯を何にしようかと悩みながら善人withカートを引き連れて食品売り場をぐるぐると回っていた、ちなみにカレーを作るか、簡単にチャーハンでも作るか、それとも久々にオムライスでも作ってみようかと悩んでいた。ちなみにオムライスを想像すると有二を学校から引きずり、自宅へ連れ込んだ事を自然と連想してしまい少し彼女の頬が緩む。


「いやぁ平和っすねー善人君ー」

「え?あぁ、平和だ……っすねー」

「くふふ、だっすねーてなによ~面白いなぁ善人」

「そりゃどうも」


こんな普通の楽しそうな会話をしている二人は今現在同じ空間にて事件が起こっているのをまだ知らなかった。ましてや、どこのアパートで住んでいるのかも知らない妹が関わっているだなんてカートの持ち手部分にだらーんと全体重を預けている兄の善人は想像すらしていなかっただろう、いや、そもそも事件が起こるだなんてことすら、想像していなかったに違いない。


「今頃有ちゃんたち何してんだろ」

「さぁね、俺の考えることには、こよいちゃんが有二に抱きついてたりするんじゃないのー? ってかいいの、そんな事させて」

「まぁ、嫌だけどねー。でもこよいちゃんに悲しい思いをさせたく無いんだよね、だからたまにはいいやとか思ってる」

「ふーん、そうなんだ。てっきりこよいちゃんは姫川さんにとって少しお邪魔な存在だと思ってたよ」

「お邪魔だなんて、そんなことはないよ。こよいちゃんもあたしの家族の一員なんだから」


こんな話をしながらこの二人が一通り回って今から必要な食材を取りに行こうかと思っていた頃、咲月の耳に変な話が入ってきた。そう、あの話だ。


それは営業員から営業員へ話が伝わる際に聞こえたものだった、そしてその内容は咲月にとって有二とこよいの安否が気になって仕方なくなるような内容だった。



「山崎さん!」

と、一人の若い男性店員が彼より少し年上に見える店員さんに声を掛ける、その声のおかしな雰囲気から一体なんだ、と山崎と呼ばれた店員はその男性店員を、うるさいぞ、お客様に迷惑だろうが。と叱り付け、とりあえず話を聞こうと、で? どうしたんだ森岡、と付け加えた。


すると叱られたことに対してすみません、と初めに謝罪を入れ、森岡と呼ばれた男性は目の前の山崎という男性に事情を説明した。しかしどうやらこの男性も誰かから伝えられているようで具体的なことは何一つとして知らなかった。


「実は、お菓子売り場付近にてどうやら事件が起こったそうで……」

「なっ、事件だと……!?一体それでどうなったんだ?」

「山崎さん、声が大きいですって、だから今静かにお客様の避難を進めているところです、なのであなたにも手伝ってもらおうかと思ったんです」

「あ、あぁ、分かった……とりあえず、そこにいる二人の男女は俺に任せておけ」


と、いう話を咲月は聞いてしまった。そしてお菓子売り場付近というワードが彼女の心拍数を跳ね上げる。そう、お菓子売り場には大切な家族となったあの二人がいるのだ、無理もない。そして彼女は自分達を避難させると言った山崎という男性から素早く離れた。もしかすると咲月自身が二人を見つけ出しその二人を避難させようという気なのかもしれない。ここで山崎という男性の指示に従い一旦外へ出てしまうと恐らく中へはもう戻れないだろう。それはつまり咲月のやろうとしている行動に大きく妨害してくることになる、だから自分達を避難させようとしている山崎という男性から的を外れるために離れたのだろう。


そして突然の早歩きに焦りながらついて来た善人は咲月にどうしたの?と訊いた。


彼女は焦っていた。


ちょっと待ってよ、お菓子売り場って有ちゃんがいるところじゃないの……!なんでそんなところで事件だなんて起こってるのよ、だいたい事件だなんて一生に一度遭遇するかしないかでしょ?!なんであたし達がそれに遭遇しないといけないのよ……!有ちゃん大丈夫かなぁ、ケータイ掛けてみようか、出てくれるかなぁ、とにかくどうか無事で居ますように。


【次回予告】(来週末までテスト期間のため)


平凡な、いやそうでもないような、でも至って普通の暮らしをしてきた彼らは突然事件に巻き込まれる、その事件の真っ只中にいる有二はこよいを連れ、離れようとするがそれをこよいが許さず有二とこよいは更に事件に巻き込まれ……!?そして二人の元に鳴り響くケータイの着信音、兄と代わりこよいが善人に言った言葉とは?そしてそれを聞いた善人の取った行動とは?ナイフを突きつけられ首から血を流しぐったりとしている美咲の運命や、いかに。乞うご期待……はしないでください。

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