52話
日が暮れかけた商店街に二つの影があった。
その影の主である二人は小学校からの友達で、それなりに仲も良い。中学の頃はクラスが違ったのでそこまで交流はなかったがそれでもメールのやり取りをしていたので結局は小学校から仲が良いということになるのだろうか。それはともあれ、そんな二人の久しぶりの会話が始まった。
「んだよ、こんなところに居るなんて珍しいじゃん」
「私だって自分の目で確かめたいことがあるの、だから遠いけどここまで来たの……」
「……んで?どうすんだ?あれ」
そう言って彼はまた振り返って例の二人の居た方向に視線を向ける、同じように彼女もその方向に視線を向けると残念そうに、
「はぁ、やっぱりホントなのね……ったく、さくらもどうして高垣君を狙ったのかしら」
と、ため息混じりに感想を述べた。
「ってかさ……」
彼が急に話の腰を折った。それに対し、何よ。と彼女が訊くと彼は彼女の姿をじっと見て、
「詩織ってば背は高くなったけど相変わらず胸の大きさは変わらな」
「ふんっ!!」
何かを言いかけた彼は地面に膝を付け声にならない悲鳴を上げたのだった……。
◆
(実は手繋ぎたかったりして……でもその勇気が出なかったりして……)
二人は肩を並べて下校していた。一人は高垣衛。もう一人は椎名さくら。彼らはカップルに間違われるほど仲が良い。でも衛には既に彼女が居る。そう、美咲のことだ。
椎名さくらは衛に積極的にアピールをしている。彼が好きだから。振り向いて欲しいから。そんな彼女だが実は衛に彼女が居るだなんて事は前から知っている。彼と同じクラスだった子から聞いていたのだ。彼女が居る事を知っていてこんな事しているだなんて知られたくないので衛に彼女が居るということについては知らないフリをしている。
(今はこんな調子だけど絶対に振り向かせちゃったりするんだからね、私頑張るんだから……ふぅ、もうこんなところまで来ちゃったよ、今日はここでお別れだね、仕方ないよね)
とある一件の家の前まで来るとさくらは別れを告げる、
「衛、一緒に帰ってくれてありがと、迷惑だったらごめんね」
「いいよ、迷惑じゃないし」
「え?ホント?」
迷惑でないことに嬉さを感じたさくらは心底喜んだ。
「おう、俺嘘つかないよ?」
そう衛が言うとさくらはあえて、
「ふふ、衛のそういうところ私は『大好き』だよ」
と、『大好き』というワードを加えて、ばいばい、と手を振りながら家へと入っていった。その背中を見守りながら衛は、
「…………お、おう。ん、んじゃまた明日」
と、なにやら慌てながら帰路へついた。
……あんま面白くない。ちなみに詩織は久しぶりに会う静也にたいして少しだけドキドキしていたりします。でも彼のセクハラな発言によりその感情はどこかへ行ってしまいます。恐るべき伏線破壊者
面白いことが浮かばないのでここで失礼します。感想ください。